疑心
「さすがに正面から入るわけには、行かないからな! 裏口に回るそ!」
サクゾはそういうと、まるで自分の家の庭の様に教会の敷地の奥に進んだ!
「教会に裏口なんか、あるの? それに、そんなことなんで、彼は知ってるの?」
あまりに教会の事に詳しいリウはサクゾの事を少し怪しみだした。
「ここじゃ!」
なるほど、サクゾの言う通り裏口らしきものが、教会の最奥にあった。しかし、扉はカモフラージュされていて、関係者でもなければ存在を知るのは困難であろうと思われた。
「これって、大丈夫か・・・・」
ランドもリウ同様、冒険者の経験で危機感が働いたようだ。
「ここまで来て、引き返しても、なにもわからないままだ! オレもサクゾは何かおかしいとは思うが、もう進むしかないと思う!」
ディアは警戒する二人を説得してサクゾのいう通り裏口から教会の中に入っていった。
教会内は最低限の明かりがついているだけで、人の気配は感じられなかった。
「この街は、規模も小さいし、町全体が警戒が薄いから、教会内も夜は無人になるはずじゃ」
サクゾは自信をもって話してくれた。
「ちょっと待ってくれ! 無人だっていうなら、ちょっと話がある!」
ランドは強い口調でサクゾに食い下がった。
「いったいなんじゃ、そんな怖い声を出して!」
サクゾは突然のことで、純粋に驚いていた。
「あんた、何者なんだ! おかしいだろう! そもそも神都から脱出する井戸の事も変だとは思ったが、この街や教会、それに裏口、最後は教会が夜間無人だってことまで知っていた! どう考えても普通じゃない!」
サクゾを問い詰めているランドの横には怖い顔をした、リウも警戒心満載で立っている。
「ん-っ・・・・そういわれてもな・・・・ワシも何故かはわからんのじゃ・・・・ただ知っている、それだけなんじゃよ!」
サクゾは嘘はついていないようだった。
「ちょっといいかい! 確かにサクゾは昔から不思議な男なんだよ! 色んな事知っていたり突然いなくなったと思えば、突然現れたりとかね・・・・だけどね私が困っていると、いつもサクゾが助けてくれたし、サクゾはどんな時でも私の味方だった! だからここは私の顔に免じてサクゾの事も信じてやっちゃくれないかね!」
レフティの言葉は心からのものだった。
「だけど、あんたもグルだったら・・・・」
リウがなおも食い下がろうとしたが、ランドがリウの方に手を置いて制止した。
「そうね・・・・わかったわ・・・・ここはレフティの言葉を信じて、ひとまずサクゾの謎については目をつむるわ!」
ディアはランドとサクゾ達が言い合っている間、サクゾとレフティの様子をずっと観察していたが、二人ともうそを言ったり、何かを隠しているようには全く見えなかった。そればかりか、二人とも、とても誠実で、まとまな人間にしか見えなかった。
それでも、ランドたちがいうように、不信感も当然のように生まれていたし、何かおかしいという感覚がずっと付きまとっていた。
「よし、とりあえず解決したということで、ひとまずは手分けして教会内を捜索するか!」
5人は無人の教会の中を、隅から隅まで探したが、おかしいものは発見できなかった。
「出家の儀式のときベスタは、奥の部屋に連れていかれた! この教会にはそういう部屋はないのか?」
ディオは以前ベスタの出家の儀式の時を思い出して、教会内をぐるぐる頭を振って観察した。
「そうよ、あの部屋を探すのよ!」
リウやランド達も、隠し部屋がないか、探し回ったが、何も見つからなかった・・・・




