光の雨
「あれは!」
台座の上の石に手を置いているランドとリウの様子が明らかにおかしかった・・・・二人が、目に見える速さでやつれだしていた。
「ちょっと、どいてくれ」
ディアは立ち上がって、イベント広場に向かおうとしたが、盛り上がっている会場は総立ちで、とても前に進める状況ではなかった。
「吸収、完了!」
マジシャン風の男が大げさにアピールした。
「そんな・・・・」
観衆にもみくちゃにされていたディアがイベント広場の方を見ると、二人の髪は白くなり顔や手には深いしわが刻まれていた。まるでこの短時間に50歳くらい歳をとったようであった!
ディアは間に合わなかったとわかり、がっくりと肩を落とした。
「皆さん、お待ちかね、解放のお時間となりました!」
マジシャン風の男が宣言すると、会場は本日最高潮の盛り上がりをみせた!
「おおおおおおおおおっ」
「いよいよか!」
会場中が一体となって、何かを待っていた。
マジシャン風の男は、持っている杖を台座の石に当てたあと、不思議な呪文を唱えた!
「お石様! ワハハハのハ、解放だ帆! ホホホ・・・・」
いつの間にか目を覚ましていたサクゾは、その光景を見て、呟いた。
「あの呪文のようなものはでたらめだな!」
途方に暮れていたディアだったが、その光景を見て、それまでのサクゾと何か違った不思議な印象を持った。
「解放!」
呪文を終えたマジシャン風の男が叫ぶと、淡く光っていた石の光が一気に会場の天井に広がった。そして会場中に光の雨を降らした。
「これは・・・・」
ディアは何か、光の雨を浴びても何も感じなかった・・・・
「そういうことなのね!」
レフティが光の雨を浴びて、何かを感じたようだ!
「どういうことなんだ?」
ディアはレフティに詰め寄った。
「説明するから落ち着いて!」
レフティはまず、ディアを落ち着かせて、ゆっくりと話をした。
「これは、あくまで私の想像でしかないんだけど、おそらく正しいと思うわ! あの石はおそらく彼らの魔力を吸い取ったと思う! 一気に魔力を完全に吸い取られてしまった彼らは、生命力を大きく失って、あんな姿になってしまったのよ! そしてあの石から降ってきた光の雨は彼らの魔力を含んだ生命力! それを浴びた私たちは、皆その生命力が上昇して寿命が延びたんだと思う! といっても、一人一人は数日程度の事だけどね・・・・」
「なるほど、だから観衆たちは、ここまで盛り上がったのか・・・・」
隣でレフティの話を聞いていたサクゾは、眉をひそめた・・・・
「全くなんて、醜いイベントを考えるんだ、相変わらずだなこの国の奴らは・・・・」
「そんな・・・・」
ディアはレフティの話を聞いて、絶望した。彼が光の雨を浴びても何も感じなかったのは、彼の魔力の量が膨大すぎて、光の雨程度の魔力を吸収しても、その量が微量すぎて、その変化に気づかなかったためであった。




