魔力祭り
「ランド!」
ディアは思わず大声で叫んでしまった。
「こりゃ、こんなところで騒ぐな!」
あわててサクゾが止めた! どうやら、イベント開始前で会場中がざわついて、誰もディアの事を気にしていなかった。
やがて司会者のようなタキシードを着た男が中央のイベント広場に現れると、会場中が徐々に静まり返っていった。
「レディース&ジェントルメン! 魔力祭りにようこそ!」
「うおおおおおおおおおおおっ!」
会場中が割れんばかりの歓声が巻き起こった! 会場に集まった住民たちは毎日があまりの暇で、どんなことにでも真剣にもりあがって楽しもうとしていた。
「魔力祭りって?」
ディアは歓声の中、レフティの耳元で大声で尋ねた。
「参加するのは初めてだから、内容はわからないけど、月に1回くらいやってる人気のイベントみたいだよ」
レフティもディアの耳元で大声で答えた。
サクゾは牢の中でいつも寝ているからなのか、このうるさい会場の中で、ただ一人眠りこけていた。それを見たディアは、この老人はとんでもない大物かとんでもないダメ人間かのどちらかだろうと考えていた。
イベント広場には、全身白ずくめで、大きな袋のような覆面を被った男が2人、何やら重そうなものを台座に乗せて運んできた。
「はい! みなさんおなじみの魔力移しの石でございます」
司会者が運ばれてきたものを紹介すると、さらに大きな歓声と拍手があがった!
どうやらこのイベントでは毎回登場するアイテムのようだ。
それから中央広場では、綺麗な服を着たお姉さんの集団が歌と踊りを披露した。しばらくディアとレフティも日ごろの事を忘れて、その素晴らしいショーに見とれていた。
ショーが終わると、再び司会者が現れた。
「いよいよ本日のメインイベントの開始でございます!」
そういうと司会者は広場の端から端を走り回って会場中を盛り上げた。
「ジャラジャラジャラジャン」
大きなドラの音とともに、怪しげなマジシャンとアシスタントのような二人が登場した。
マジシャン風の男は真っ白なシルクハットとタキシード、アシスタントの女性は、ほとんど半裸のようなセクシーな衣装だった。
「いよっ、待ってました!」
会場中から彼らに掛け声がかかった。二人は客席に向かって、深々とお辞儀をして挨拶をした。
マジシャン風の男が会場に合図をすると、一斉に歓声がやみ静かになった。
続いて、アシスタントの女性が、台座の石の周りで奇妙な舞を踊りだした。
マジシャン風の男は、その間にランドとリウの横に立ち、二人の頭を激しくさすりだした。
「お石様、お石様、どうぞ魔力をお受け取りくださーい」
マジシャン風の男がランドとリウの手を取り、台座の上の石に押し付けた。
すると石がほのかに光りだした。
「いったい・・・・」
ディアは何が起こってるのかわからず、その光景にくぎ付けになっていた。




