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牢屋

 吾郎は男たちによって洞窟に連れてこられた。その洞窟は吾郎がいた綺麗な洞窟ではなく、床には吐しゃ物があふれ、壁には見たこともない昆虫らしき生物があちらこちらに徘徊し、決して潔癖症ではない吾郎にとっても、かなりストレスを感じるような環境であった。


「これは、ひどいな! 彼らはとても貧乏なんだな・・・・少しでも多くお礼をしてあげなきゃな!」

 吾郎は男たちの服装を馬鹿にしていた自分の心を責めた。


 洞窟の中には、2人の男たちの他にも数十人の人間がいるようだった。皆同じような獣の匂いがし、不衛生な服装をしていた。

「まだまだ、田舎はこんな生活なんだな! オレは都会で贅沢な生活をしていたんだ・・・・」

 吾郎は自分のこれまでの生活と彼らの環境の違いにギャップを感じながらも田舎の生活に馴染まなければと考えていた。


「ここに入ってろ」

 吾郎は洞窟の中のくぼみに木で柵を建てた部屋に押し込められた。


「ここは、まるで牢だな! いや、そうじゃないぞ! ここは個室なんだ! こんな洞窟の中に頑張って作った唯一の個室に客人のオレを招待してくれているんだ」

 吾郎は心から感謝した。

「ちょっと言葉遣いとか扱いが乱暴だけど、田舎だからな! 早く馴染まないとな」

 吾郎は移住生活の洗礼だと自分を戒めていた。


「おい、新入り!」

 突然、吾郎の背後から声がかかった。

 吾郎が振り返ると、そこには一人の30代くらいの男が座っていた。


 彼の服装は薄汚れていたが、他の洞窟の住民と違い、まるで中世の貴族のような服装であった。


「は、はじめまして! 僕は山田吾郎といいます」

 吾郎はさすがに個室だから、客人だけしか入れないのだと彼の服装を見て判断した。


「私はホビー男爵だ」

 男は胸を張って挨拶した。


「ホ、ホビー? それに男爵って?」

 男の顔は見るからに日本人顔だった。

「またイタイ人だ! だからこんな格好してるんだな! 田舎ってイタイ人が多いのかな・・・・」

 吾郎は、刺激しないように話を合わせなければと考えた。


「お前も、誘拐されたのか?」

 ホビー、男爵はいかめしい顔をしながら吾郎に尋ねた。


「今度は誘拐って! そういうプレイかー! オッといけない自然に振舞わなければな」

 吾郎は真顔になって、答えた。

「男爵様、私達は解放されるのでしょうか?」


「吾郎、お前は平民なのか! 身代金さえ払えば解放されるだろう」

 男爵は怯えてる吾郎を安心させようと優しく話をした。


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