ハイパーストロングパンチ
「はぁーっ!」
ディアは呼吸を整えて、気合を込めた!
それを目の前で見ていた老人は何が起きるのか、心が自然と踊りワクワクが止まらなかった。
「オリャーツ」
ディアは老人の後ろの石壁を一歩踏み込んで、力を込めて拳で思いっきり殴った!
「・・・・」
はたして石壁は微動だにしなかった・・・・
「ま、まぁ、そうだな・・・・」
老人は冷静に考えれば、この結果が当然だと考えながらも内心がっかりした。
「ありゃっ? なかなか固い壁なのかな?」
再びディアは精神統一して気合を込めて壁を殴った!
「・・・・えっ・・・・」
あまりに、かっこをつけてパフォーマンスした手前、ただ一人の老人だけが見ていたとはいえ、ディアはかなり恥ずかしくなってきた。
「あっ、この指輪・・・・」
ディアは自らの力を100万分の1に抑えている指輪の事を思い出した。
指輪をとってしまえば、石壁など指一本で吹き飛んでしまうだろうが、それでは老人にも危険が及ぶと考えたディアは、魔力を自身の体の中で操って、ほんのわずかに指輪の力を抑えた。
ディアは少し恥ずかしかったが、再度老人の前で気合を込めて、精神統一をした。本来こんなことをする必要は全くなかったのだが、なぜかやらずにはいられなかったのだ
「はああーっ」
それをあきれ顔で老人は見ていた。
「若者よ、お主の諦めない気持ちはわかったから、もういいぞ・・・・」
老人の一言で、少し壁をたたくタイミングを失したディアだったが、構わず壁を殴った。
「おりゃーっ!」
「だから・・・・」
再びあきれ顔の老人だったが、自身の背中から冷たい風が吹いてきたのを感じて、ふと振り返った・・・・
「ええええええええっ!」
老人は驚愕して大声をあげた。
「はははっ、どんなもんだ! オレのハイパーストロングパンチにかかれば、こんな壁など、いちころなのだ!」
壁が壊れたことで、デイアはつい調子に乗ってしまった!
「なんと、ハイパーストロングパンチというのか! 素晴らしい!」
老人は目を輝かせて、ディアの事をヒーローでも見るような目で仰ぎ見た!
かなり恥ずかしくなってしまったディアだっだが、いまさら引っ込みがつかなくなってしまったディアは
「おうよ、オレは悪を滅ぼすために、このハイパーストロングパンチをあみ出したのだ・・・・」
「は、ははは・・・・」
最後は乾いた笑いまで出てしまった。
老人とディアがほのぼのした会話を交わしているときに、数体の悪魔は、一瞬ではあったが、悪魔神の力が解放されたことに気づいたものもいた。
「なんだと、どういうことだ・・・・これまで全く消失してしまっていた気配が・・・・」
その1体が悪魔神城を支配していたガンバであった! あまりにわずかな気配であったため、何処からかはわからなかったが、彼はこの後、これまで行っていなかった悪魔神の捜索活動を開始した。
ガンバ以外の数体の悪魔も、この気配を感じたことにより、それぞれの行動を開始することになった。




