教会員
ディアは、眠っているカップルを眺めながらつぶやいた。
「ごめん」
そういうと両脇にランドとリウを抱えて馬車を飛び降りた。
「お、おい! あいつ、なんで目が覚めてるんだ!」
馬車の周りで準備をしていた教会員にディアは一瞬でみつかってしまった。
「さいなら」
そういうと、ディアはランドとリウを抱えたまま走り出した!
「な、なんだ! あいつのスピードは!」
教会員たちは大人二人を抱えたまま、ものすごいスピードで走るディアを見て驚愕した。
「大丈夫だ!」
教会員たちは驚きながらも冷静さを取り戻した。
「ピーっ」
一人の教会員が首抜掛けていた笛を吹いた。
「ザッザッザッ・・・・ザッザッザッ」
何処からともなく、住民が湧き出てきた。彼らはみな、手に鍬や鎌を持っていた!
「な、なんだ・・・・」
ディアの行く手は瞬く間に街の住民たちにふさがれた! ランドとリウをゆっくりと地面におろしたディアは拳法家のような構えをとって、前をふさぐ住民を威嚇してみた。
「ンーッ、ちょっと、困ったな・・・・」
おそらくディアが本気で戦えば、住民たちなど、たちどころに打ち倒すことができるであろう。しかし、ディアは彼らを殺したくはなかった。
「ザッザッザッ」
住民たちは少しづつ、ディアとの距離を詰めてきている。
「どうするか・・・・」
ディアは、あちこち眺めて、なんとか逃走路がないか探してみたが、住民たちの数はますます増えていくばかりであった。
「・・・・仕方ないな・・・・」
ディアは地面で未だ寝ているランドとリウを置いたまま、住民たちの上を飛びあがった!
「なんだと!」
その光景を見ていた教会員たちは、驚愕の表情を浮かべていたが、ディアは気にせず、そのまま走り去った。ディアの走るスピードはとても人間が追いつけるものではなかった。
「あいつはいったい何者だ!」
しばらく、住民たちを引き連れでディアを追ってきた教会員たちであったが、ディアの姿がどこにも見当たらないため、諦めて引き返していった。
大木の陰で身を隠していたディアは、教会員たちが引き返していくのを密かに見ていた。
ディアがいなくなった後、ランドとリウは教会員たちに回収され、カップルとともに教会の中に連れられていった。
密かに、ランドたちを見ていた、ディアだったが、夜まで待つことにし、一旦教会から離れることにした・
「クソッ! やっぱり、この国はおかしい! ランドたちを救出して、国を出たらベスタも迎えに来て、2度とこんな国には来ないぞ!」
ディアは地団駄を踏みながらも、冷静に夜を待つことにしたのであった。




