戦いの後
アストラ王たちは、王都から多くの者たちを避難させて、王都の城壁で鬼蜘蛛たちを迎え撃つべく待ち構えたが、鬼雲たちが結果として王都まで来ることはなかった。
後からわかったことであるが、鬼蜘蛛は国境付近の町や村を根こそぎ襲った後、突如として姿を消した。
住民がいなくなった町や村には、間もなく魔王国軍がやってきて、占拠した。こうして王国軍の領地の3分の1ほどを魔王国軍が抑えることになったわけだが、もはや王国に反撃する国力は残されていなかった。
王国の兵士や民を食べつくした鬼蜘蛛たちが向かったのは、今や悪魔神城の悪魔達が占拠する、死の大地と呼ばれる、かつての子爵領、男爵領であった!
突如、大量の鬼蜘蛛に攻め込まれた悪魔神城軍は、当初混乱したが、すぐに鬼蜘蛛の天敵
であるマグマ蛙を大量に投入して反撃に転じた。
こうして死の大地は悪魔神城軍と魔王国で半分ずつ統治する形でおさまった。
「なぜ、たかが魔族ごときの国が鬼蜘蛛を使役しておるのだ!」
悪魔王ガンバは、死の大地を統治していた部下達に向かって激怒していた! 鬼蜘蛛は上級以上の悪魔が使役する眷属である! 魔力が少々強いだけの人族な派生種族である魔族の国である魔王国軍が使役できるような魔物ではなかった。
「考えられることは、魔王国に上級以上の悪魔がいるということでしょう!」
幹部の一人が呟いた!
「だとすると・・・・」
ガンバには心当たりがないわけではなかったが、厄介なことになったと頭を抱えた。
王国との戦いを終えた魔都で大勝利を飾った結果とは裏腹に静まり返っていた。一つには、軍の幹部も含めた5000もの魔都を守備していた軍が鬼蜘蛛によって死亡したこと!
大幹部であるザンダーマが戦の最中に、魔王によって実質的に殺されたこと。何より魔王が知る賢王とは、程遠いまさに魔王となったことであった。
死の大地を守っていた魔王国軍は、住民のいなくなった、王国の町や村の占拠を行い、魔王国の住民も、王国であった町や村への移住が進んでいた。
北門を守護していたマクマグ達近衛兵団第3支部の兵たちは、戦いを直接体験していないため、突然の魔王国の雰囲気に戸惑っていた。
避難したディアからは何度も、帰国の許可に関する手紙が届いていたが、マクマグは許可しなかった。
それは王国との戦いの後に変わってしまった魔王国にディアが帰ってきたら、彼がどうなるか責任が取れないためであった。
王国にはもともと、魔族をはじめ多くの亜人種や人族が共存してたが、新しく魔王国に締結された法律によって人種に序列がつけられることになった。
第1位の種族は魔族である。魔族は高等種族と呼ばれるようになり他の種族とは、一線を画する特別な存在となっている。
それに続くのが、エルフ族、ドワーフ族等の亜人種であった。亜人種の位置づけは幅広く、魔族及び人族を除くものであった。
最下層に位置付けられたのが人族であった。人族は魔族に奉仕するために生きている種族という存在になり果ててしまった。
こんな国に実際は悪魔であるが、マクマグは人族と思っているディアが帰ってきても幸せに過ごせないと考えたためであった。




