終結
巨大鬼蜘蛛に逃げ場をふさがれた王国軍兵士たちは。戦うことなく、剣を放り出し、両手をあげて、恭順の意を示した。
城壁の上からその様子を見ていた、魔王国兵士達は安堵した。これでやっと、人が食われる光景を見なくても済むのだと! 彼らは思った。鬼蜘蛛たちは巨大化の限界まで食事をしたのだ、そのためこれ以上食べられなくなり捕虜をとることにしたのだろうと!
巨大鬼蜘蛛の数は5000体である。その数は魔王軍として出陣した兵の数であった。
逃げ延びることができずに捕虜となることを選んだ、王国軍の兵は3万程度である。逃げ延びた兵は500にも満たない数であった。つまり、すでに7万人近くの王国軍と5000人の魔王国軍の兵士が鬼蜘蛛の餌になっていたのである!
王国軍の兵士たちは気が抜けたのか、座り込んでいるものや、寝そべって空を眺めているものもいた。
彼らは、ひとまず死の恐怖から逃れることができたという安ど感で一杯であった。
「そろそろか!」
魔王がささやいた
その時、戦場の死体の中からいくつもの激しい叫び声が上がった。
「ああああああっ」
それは死体ではなかった、叫んだのは四肢を切断されて動くことができなくなっていた兵士達である!
「ズバッ!」
彼らの腹が突如膨れ上がって、はじけ飛んだ! 何かが噴き出てきたのだ!
すっかり気が緩んでいた、王国軍の兵士たちは、ある意味その噴き出るさまが美しいと思いながら、眺めていた。
「なんだろう・・・・」
しかし、その噴き出た無数の何かが、自分たちの方に目にも止まらぬ速さで近づいた事を認識した瞬間、彼らの表情は変わった。
「く、蜘蛛だ! 逃げろ!」
噴き出てきたのは無数の鬼蜘蛛の子どもであった。彼らは、真っすぐに王国軍兵士たちの方に向かってきた。
鬼蜘蛛の子どもの近くにいた兵士たちには、瞬く間に大量の鬼蜘蛛の子どもが群がった。鬼蜘蛛一体が食す量が人間1人に満たなかったためであろうか・・・・鬼雲の子どもたちに顔が浮き出ることはなかったが、その食欲はとどまることを知らず、次々と王国軍兵士に群がった。
兵士たちも、ただ無抵抗に食べられたわけではなく、必死に鬼蜘蛛の子どもに戦いを挑んだが、いかんせん一人に数千の子どもが群がったためなすすべがなかった。
さらに、鬼蜘蛛の子どもから必死に逃げた兵士たちは、巨大鬼蜘蛛にその行く手を阻まれた。巨大鬼蜘蛛たちは兵士の四肢を切断し、逃げられないようにすると、子供たちの方に放り投げた。結果は明らかである。
これ以上の恐怖と悲劇は起こらないと思っていた城壁の上の将校たちは、もはや、その光景を無表情のまま、眺めていることしかできなくなっていた。
こうして、魔王国に攻め入った10万の兵士は、わずかに逃げ延びた者を除いて全滅したのである。




