本当の効果
「魔王様、いったい・・・・」
魔王の横にいるザンダーマは何が起こったのかわからなかったが、心の底から嫌な予感が溢れだした。
それは城壁の上にいた他の将兵たちも同じようで、誰もが息を飲んで、城門の下の光景を固唾を飲んで眺めていた。
「まあ見ていろ! これから、面白いものが見られるぞ!」
魔王は城壁の下を眺めて笑みを浮かべている。
ザンダーマはこれまで魔王の事を、その知恵で魔王国をここまで繁栄に導いてきたことで、心の底から信頼し尊敬していた。しかし、今ここにいる魔王は明らかにザンダーマの知る魔王ではなかった。
「うっううううっ」
苦しみだしたのは王国軍ではなく魔王軍の兵士たちであった!
「なんだと」
ザンダーマは自らの目を疑った。
「ぶちっぶちぃぶちっ」
魔王軍の兵士達の頭が突然はじけ飛んだ! そしてはじけ飛んだ場所から新たな生物が生まれ出た! その生物は蜘蛛のように多くの手足を持ち、頭部は巨大な牙を持つていたが、鬼のような形であった。
しかし、よく見るとその鬼の頭部の後頭部はもともとの宿主の兵士たちの顔であった。
「あああっ!」
「苦しいよ!」
「助けて!」
オニの後頭部の兵士たちは意識があるようで、皆苦しみもがいて涙を流している!
さらに新たに生まれ出た生物たちは、自らの宿主であった兵士の体を食べ始めた。
「ガツガツガツ」
「ひいいっ、痛い! やめて!」
「がやああああああっ」
鬼に体を食べられてる兵士たちは痛みを感じるようで、皆さらに激しく苦しみもがいている!
「こ、これは・・・・」
突然目の前で起きた出来事に、理解が追いついていない王国軍の兵士たちは声を発することもなく、その場で身動きもせず、ただ突然現れた鬼の食事を眺めていることしかできなかった。
王国軍の兵士以上に驚愕していたのは、城壁の上にいた同じ魔王国軍の将兵たちであった。
「な、なんだ、これは・・・・」
ザンダーマもまた、他の将兵たちと同じように、身動きもせず、ただ目の前の光景を眺めていた。 そして自らが涙を流していることに気づいた!
そしてふと、隣にいた魔王を見た!
魔王はその光景を見て笑っていた!
「ハハハハハッ! いいぞっ!」
「こ、これは、どういうことですか?」
ザンダーマは魔王にか細い声で問いかけた。
「ははははははっ」
魔王はザンダーマの声に築かずに恍惚の表情で笑っていた。
「どういうことだと聞いているのだ! 魔王!」
ザンダーマは魔王に怒声をあげた!
それに気づいた魔王は無表情になってザンダーマに応えた。
「黙ってみていろ!」
その表情をみたザンダーマは恐ろしさのあまり凍り付いて、それ以上何を言うこともできなかった。
魔王とはいえ、ザンダーマの知る彼は温厚な男であった! しかし、今目の前にいる全く別の存在のように思えた。




