赤い丸薬
「皆のもの、敵はわずか5000ほどだ! 魔族一人に数人がかりで対処すれば、一気に討伐できるはずだ!」
前線にやってきた、アストラ王は兵士を鼓舞した! しかし魔王軍に兵士は王国軍数人がかりでも五分かそれ以上の戦いをしている。
「いくら、魔族といっても、これほどとは・・・・」
覇王といわれるアストラ王でさえも、魔王軍の強さに圧倒されていた。
一方、城壁の上の魔王とザンダーマは高みの見物をしながら、20万の王国軍を相手に一歩も引かない魔王軍をみて、興奮していた。
「わが軍は思った以上に善戦しておりますな! やはり出陣前に飲ませたあの丸薬のおかげですかな!」
魔王軍は魔力を高める効果を持つという、丸薬を全員飲んで出陣していた。
「これなら王国軍といえ、恐るるに足りませんな!」
ザンダーマは興奮していた! 開戦前は、滅国の危機とさえ思っていたが、今の戦いぶりを見る限り、ヒット&ウェイを繰り返し、高い城門の力を借り、魔王城を守り切れると確信した。そうして、やがて来るであろう援軍と挟撃し王国軍を撃退することができると!
夜襲から1時間ほど経過すると、王国軍も夜襲の混乱が収まり、将校たちが的確な指揮を行いだした。疲れた兵士を退かせて待機している兵を前に出し、魔王軍と戦わせる等、徐々に王国軍が戦いのイニシアティブを握るようになった。
こうなると、圧倒的な兵力の前に王国軍が有利であった。
「ははは、所詮魔族といってもこんなものよ! 皆のもの一斉に畳みかけろ!」
さらなる追撃があると思い恐怖していたアストラ王であったが、結局5000の兵がままであったことで安心し、今では各将兵に指揮を任せて後方に下がっていた。
「魔王様、そろそろ、場内に退却させるべきでは・・・・このままでは全滅してしまいます・・・・」
城壁の上のザンダーマは戦況を見て、焦っていた。
しかし魔王は一切動こうとせず、城門はかたくとざされたままであった。
「魔王様!」
「城門を!」
ザンダーマがたまらず、部下に城門を開くように指示を出した。
「まだだ、もっと引き付けるのだ!」
魔王軍は徐々に王国軍に押され、今では多くの魔王軍が城門の近くまでやってきていた!
「しかし、このままでは、城門を開けると王国軍まで流れ込む事態になりかねません!」
「魔王様、早く城門を!」
ザンダーマは叫んだ! しかしそれでも魔王は動こうとはしなかった。
「そろそろいいだろう!」
そういうと魔王はゆっくりと両手を天にかざした。
「おお、やっと城門を!」
ザンダーマはホッとした表情をした。
しかし、魔王は城門を開ける命令は一切下さなかった。
「城門はこのままでよい! ゆっくり見ておれ! あの丸薬の本当の効果はこれからだ!」
魔王は魔力を魔王城の外にいる兵士たちに放射した! 魔王の赤黒い魔力が魔王城の外にいる兵士たちを包んだ!
「いったい!」
王国軍は突然の魔力の嵐に何か攻撃を受けたと思い、皆警戒した。
「なんともないぞ! 驚かせやがって!」
王国軍の兵たちにダメージはなかった。




