遭遇
「頼んだ!」
吾郎はシャーリーに別れを告げて、そそくさと歩き去った。
「とりあえず、テントに向かうか・・・・」
吾郎は雨宿り前に拠点にしていたテントへ向かった。
「・・・・」
「ここ、どこ?」
吾郎は自らの知る山道と明らかに違う景色に徐々に不安になった。
「おれって、もしかして遭難してる・・・・やばいな、とりあえず山を下りよう」
吾郎は不安に思いながらも、幸い季節は春であり、21世紀の世の中山さえ下りれば、何とかなると考えた。
吾郎は下山するため、険しい山道をどんどん下っていった。その間、吾郎はずっと違和感を感じていたが、それが何かわからないでいた。
1時間ほど歩いたとき吾郎は、下山することができた。この時、吾郎は気づいていなかった。通常の人間が、この広大な山々を下山し平地に出るには通常10日はかかる距離であったことを・・・・
「やっと山を下りたぞ!」
吾郎は周りを見渡した。吾郎はまたも違和感を感じていた。周りの景色は一面の草原だった。ここは東北の山の麓なはずであった。しかし目に映るのは、北海道やカナダのような景色であった。
「どこにいるのかさっぱりわからないけど、なんだかいいとこだな!」
吾郎は草原の景色を眺めながら、物思いにふけった。
「オレの人生いろいろあったが、これからはこういう所で一人のんびり暮らそう!」
吾郎は遭難しかかっていたことも忘れ清々しい気分にふけった。
その時吾郎の目に、人影が見えた。草原の先の方で、吾郎からはまだまだ距離があったが、やっと人に出会えた喜びから吾郎は、その人影に向かって駆け出した。
吾郎が思っていたよりも人影まで距離がなかったのか、一瞬で彼らのところに吾郎はたどり着いた。
「どわっ!」
人影は2人組の男達だったが、突然目の前に現れた吾郎に男たちは驚いて尻もちをついた。
「こんにちは!」
吾郎は満面の笑みで挨拶した。
「な、何だ! お前、何処から来た?」
男たちは立ち上がると同時に、身構えて何やら手に刃物を持っていた。
「えっ? あれって何だ? 刀? いや、そんなはずないよなー、そうかきっと鉈だ! 彼らは農家の人か猟師なんだ!」
吾郎は二人組の服装と手に持つ大きな刃物に違和感を持ちつつも、東北の田舎だったことを思い出し、納得した。
彼らの服装は獣の毛皮を羽織り、店で購入したとは思えない薄汚れたものである。匂いもひどく、獣のようなにおいがした。
「まるで盗賊か、山賊だな・・・・いけない、いけない田舎の人を馬鹿にしちゃ!」
吾郎は移住してきた身であるため、自らが差別的な考えを持たないように気を付けていた。




