協定
魔王は玉座に静かに鎮座していた。玉座の間には第1から第3までの各軍団長及び副官、さらにはマクマグ達、近衛兵団の第1から第5までの各部隊長及び副官並びに文官幹部が勢ぞろいしていた。
「王国め、協定をやぶるとは!」
「所詮、信用ならぬ人族よ!」
「またいつもの小競り合いか・・・・」
玉座の前には多くの意見が飛び交っていた。
「皆の者、静粛に!」
最高幹部の一人ザンダーマの一言で、玉座の間は一気に、静寂につつまれた。
「では私から、ご報告させていただきます!」
声を発したのは、第1軍団軍団長アーグンドである。彼の口元からは大きな牙が2本生えている。第1軍団はエリート中のエリートであり、その軍団長であるアーグンドは魔王軍最強との呼び声が高かった。
マクマグ達近衛兵団は魔王城を守護する魔王直轄の部隊であり、マクマグ達第3支部は北門を守護するのが役目であった。
「今回の王国の侵攻は、協定違反であり許すまじ事態であります!」
「そうだ! そうだ!」
再び玉座の間がざわついた!
「静かにせんか!」
再び、ザンダーマの檄が飛んだ!
「では続けさせていただきます!」
アーグンドは冷静に話を続けた。
「今回の王国の侵攻は、皆さまが考えておられるような、いつもの小競り合い程度ではすまないでしょう!」
「何故ならば、兵力が例年とは全く異なります」
アーグンドはそういうと、一旦間を置いた。玉座の間はアーグンドの次の一言を待つ緊張ではじけ飛びそうであった。
「王国の兵力は10万!」
「な、なんだと!」
「そんな、信じられない・・・・」
「王国はいったい、どこからそんな兵力を持ってきたんだ!」
これまで以上に玉座の間はざわついた。
「バンッ」
アーグンドが大机を拳で軽くたたいた! それだけであったが、玉座の間の空気は一気に緊張感を取り戻した。
「対して、これを迎え撃つわが軍の兵力は、5000!」
アーグンドのこの報告には、玉座の間の面々が凍り付いた。
「わが軍は、そのほとんどを、かの地の周りに設けた砦等の防衛にあてており、これがせいいっぱいであります!」
魔族である魔王軍は、通常の人族の兵に比べ強靭であるとはいえ20倍の兵力差を覆すことは、無謀であった。
「それでは、死の大地の砦から兵を呼び戻すにしても、敵軍は、すでに我が国の領内に進攻しており、とても間に合いません!」




