アストラ王
「死の大地はもはや、ダメだろう! しかし、どうやら向こうからこちらに攻めてくることはないようだ! ここまでは誰も異論はないな!」
アストラ王は、皆が納得できるように丁寧に話を始めた。
「そんな死の大地に対して、我が国や、魔王国は城や砦を設置し、多くの騎士や兵士を配備している! その結果、何が起きているか皆はしっておるか?」
アストラ王は、貴族たちの顔を見わたした。貴族たちは王が何を言わんとしているのかわからないようだ!
「それは、我が国も、魔王国も共に中央軍が大きく手薄になってしまった! 今死の大地以外の国境を破って他国が攻め込んできたら、対応する軍がないといっても過言ではない!」
貴族たちは自国が置かれている危機的状況を聞かされて青ざめてしまった。
「王よ、それでは我が国は、一つ間違えれば亡国の危機ということではありませんか! 何を指して高貴などと、おしゃるのでしょうか!」
一人の貴族が顔を真っ赤にして吠えた!
「ははは、そこじゃ! 我が国がそのような事態に陥っているということは、同じように魔王国も同様だということではないか!」
アストラ王はにやりと笑った!
「そうじゃ、今魔王国に攻め入れば、長年の悲願を達成することができよう!」
「お待ちください!」
騎士団長は王が何を言わんとしているにかに気づいて、慌てて口をはさんだ!
「まあ聞け!」
王は騎士団長を片手で制して、話を続けた。
「わが国は、一部の騎士を残し、死の大地の防衛線を解除する! そして騎士団を再編した後、全軍をもって魔王国に攻め入る!」
王は自信をもって開戦を宣言した。
騎士団長は戦争の開始を止められなかったことを後悔したが、ここに至れば覇王である
アストラ王に従わざるを得なかった。
「おおおおっ!」
アストラ王の宣言を受けて部屋にいた貴族たちは沸き立って歓声をあげた。
こうしてトーケン王国は魔王国に攻め入ることになった。
「しかし陛下、現在我が国と、魔王国は短期とはいえ協定を結んでいます。この状態で攻め入れば、世界中の国から違反を受けることになります。そうなれば、我が国は世界から孤立し、多大な被害を受けることになりかねません・・・・」
一人の良識ある貴族が、沸き立つ部屋の中にいて、冷静に王に進言した。
「もちろん、私といえど協定中に攻め入ったりはしない! 但しこの短期協定の更新を中止して攻め入るならば問題ないであろう」
魔王軍との協定は、急いで結ばなければいけないため、毎月詳細を変更しながら更新を繰り返していた。
「しかし、それではだまし討ちのような形になってしまいます・・・・」
貴族は、王の提案に心から驚いている。そんなことをすれば、それこそ国としての信用を失いかねたいためだ。
「戦とは勝たねばならない! 言い方を変えれば勝ちさえすればよいのだ! 我が国が魔族を滅ぼした後、誰が文句を言おうか! 万一そのようなものがいれば、そやつも魔族に違いない! 魔族であれば、わが軍が責任をもって討伐してくれよう!」
もはや、だれもアストラ王を止めることはできなかった。




