お城を建てよう
吾郎は尻もちをつきながら、大釜を右手に持つシャーリーを仰ぎ見ていた!
「あんな鎌もって、なんだこの頭が壊れた女は・・・・」
吾郎は目の前の脅威から救われたことよりも、突然現れたシャーリーに恐怖していた。
「悪魔神様、お怪我はございませんでしょうか」
シャーリーは再び跪き吾郎の指示をまった。
「あ、ありがとう・・・・大丈夫です・・・・」
吾郎は頭の中を高速回転して、どうやったらこの女から逃げることができるか考えていた。
「あ、あの・・・・どうして、ここに・・・・」
吾郎の声は震えていた。
「悪魔神様の下僕である私が、悪魔神様に付き従うのは当然のことでございます」
シャーリーは深く頭を下げて、忠誠の姿勢を示した。
「さっきから悪魔神って・・・・、なんなんだよ・・・・、とりあえずこれ以上付いてこられるのは避けたい・・・・」
吾郎は立ち上がってシャーリーに悪魔神らしく振舞った。
「私はそなたが付いていなくても一人で何も問題ない! そなたには、この山を守っていてもらいたい」
吾郎はシャーリーをチラ見して反応を確認しながら、恐る恐る言い放った。
「はっ! 悪魔神様のお命じになられるまま!」
シャーリーは毅然とした声で答えた。チラ見していた吾郎の体を大きくビクッと反応した。
「悪魔神様、凡人である私にお教えいただきたいことがございます。私にはこの山の重要度わかりません。何ゆえにこの山を守るのでしょうか・・・・」
シャーリーは悪魔神である吾郎の意図が分からない自分自身を責めながら、申し訳なさそうに吾郎に尋ねた。
「ええーっ! 山を守る意味なんてあるわけないのに・・・・」
吾郎は必死に考えた。
「そ、そうだ! この山は悪魔神の居城を建てる予定なのだ!」
吾郎は口から出まかせで適当に答えた。
「し、城を!」
シャーリーは目を見開いて平伏した。
「悪魔神様の偉大なお考え敬服いたしました! ぜひこのシャーリーに城の建設をお命じくださいませ!」
シャーリーは両手を地面について土下座のような恰好で懇願した。吾郎は絶世の美女の土下座姿がどこか滑稽に見えた。
「やっぱり、この女はいっちゃってるな・・・・」
吾郎は少し考えたふりをしてから言葉を発した。
「そなたに、城の建設を命じる! 悪魔神に恥じない城を建立するのだ!」
吾郎は悪魔神らしく堂々と振舞ってみた。
「必ずや、この地に悪魔神様の偉大なる居城を建設してみせます」
シャーリーは喜悦の境地にいた。
「こ、こわっ! 早く離れないと・・・・」
吾郎はシャーリーの喜悦の表情を見て心底恐ろしくなった。




