脱出
「ガンバ、お前にしてはなかなか手際がいいな」
シャーリーはガンバを小ばかにしたような口調で話している。
「相変わらず、馬鹿にしおって! だが今日でお前も最後だ!」
最上級悪魔にしては、ガンバの知能はそれほど高くなかった。しかしその圧倒的武力で、シャーリーと並ぶ悪魔王として君臨していたのだ!
「お前が悪魔神様を・・・・」
シャーリーは言葉を最後まで話すことができなった。いや、言いたくなかったのだ! 悪魔達がメイスンの念話だけでシャーリーを殺そうと集合したわけではなかった。
メイスンから念話が送られてくる少し前に全悪魔が悪魔神の存在を感知できなくなったからであった。悪魔達は皆、常に悪魔神からの恩恵を受け、その力を強化している。そのため、常に悪魔神の存在を知覚していた。
その存在が突如として消えて、悪魔神城は大騒ぎになっていた。そんなところにメイスンからの念話が飛び込んできたのだ。メイスンとワクはお互いの殺気の応酬で悪魔神の存在の消失には気づかなかったようだが、奇しくもメイスンは絶妙なタイミングで念話を送ってしまっていた。
「シャーリー、悪魔神様を殺したのはお前だな!」
ガンバは悪魔神がいなくなった今、もう一人の悪魔王シャーリーさえ、いなくなれば自らが悪魔界を支配できると考えていた。長年待ち焦がれていた瞬間が間もなく訪れると思うと吸盤だらけの顔が自然に笑みに変わっていた。
「相変わらず気持ち悪い奴だ!」
シャーリーはガンバと会話し時間を稼ぎながら密かにサンクチュアリーアイテムの発動準備をしていた。
彼女はこのアイテムの使用は、ためらわれていたが、この期に至っては致し方ないと考えていた。
躊躇われたのは、このアイテムが、どんな状況においても無事に発動者を脱出させてくれるが、しばらくの間、異界の空間に閉じ込められて身動きができなるなるためだった。
「いずれ、決着をつけに戻るぞ!」
シャーリーがそういうと、彼女の体は何かに吸い込まれたようになくなってしまった。また、そのオーラ等もきれいさっぱりとなくなっていた。
「どういうことだ!」
ガンバはシャーリーの消えた場所を何度も調べてみたが、何もわからなかった。
「まあいい、どういうわけかはわからないが悪魔神がいない今、奴一人では何もできまい!」
ガンバが悪魔界を支配するためには、まだまだ敵対勢力への対処などやることが山済みであった。
最大の障壁であるシャーリーの存在が焼失した今ガンバは、ここぞとばかりに悪魔界の掌握に全力を尽くすことにした。
「ん、どうしたのだ?」
ワクは一向に殺気を解こうとしないメイスンにいぶかし気に話しかけた。
「お前たちの思うようにはさせない! お前はここで私が倒してみせよう!」
メイスンはそういうと、闘気のオーラを体中に放出した。




