にらみ合い
「へえー、これは大物がやってきたね!」
ワクはメイスンを凝視して睨みつけた。
「下級悪魔が!」
メイスンもまたワクを睨みつけた。両者の間には何の能力ももたないガスツーンでさえ感じとれる殺気の応酬が繰り広げられていた。
部屋にいた2人以外の者は、気おされて、全身が委縮している。
「はっ?」
ガスツーンは突如背後から現れた2つの陰に驚き尻もちをついた!
子爵家と男爵家の両騎士団長である。
「な、なんで?」
両者とも両家を守る最強の戦士だ! ガスツーンは自らの目が信じられないでいた。
両騎士団長は、剣を振りかぶって、背中からメイスンを襲った!
「メイスン殿!」
ガスツーンはまだ背中を見せているメイスンに叫んだ!
ワクはそんなメイスンを見て、ニヤついている。そして横に立っている男爵夫人にワインを注ぐ様に、目で合図した。
男爵夫人は全身を震わせながら、ワクが持つワイングラスにワインを注いだ。
「メイスン殿―!」
ガスツーンはさらに激しくメイスンに叫んだ! それでもメイスンはワクを睨みつけて目を離さない!
「ガタタン! コロンコロン・・・・」
両騎士団長の首が飛んでその体が床に転がった!
「えっ?」
ガスツーンは突然のことで目の前で起きた事が理解でいなかった! 実際はメイスンが振り向くこともなく、両騎士団長の首を落としたわけだが、部屋の中でそれが見えていたのはワクだけだった!
「おかしい・・・・こいつからは、下級悪魔なのではない! 上級? いやそれ以上の力を感じる・・・・こんなものを生み出すことができるものなど、そうそういるはずが・・・・」
メイスンはずっとワクの力量を図っていた! メイスンは自身の目が信じられないでいた! 眼前にいるのは自身が想定していた悪魔のレベルをはるかに超えていたからだ!
「しかし、この所業・・・・これは数万年生きているような悪魔のすることでは、決してない・・・・となると最上級悪魔の眷属、それもトップ3に入るような・・・・いったい誰が、こんな・・・・これでは悪魔神様への反逆ではないか!」
メイスンは余りのいかりで目は血走り、嚙み締めた歯ぐきからは血がにじんでいる。
「お前に一つ問いたい!」
メイスンはワクに静かに話しかけた。
「何でしょうか?」
ワクもまた、そんなメイスンに落ち着いた口調で答えた。
「お前を生み出したのは誰か?」
「・・・・」
ワクはメイスンの問いに対して無言だ。
「人型か? 異形か? 」
「いや、その姿を見る限りは・・・・」
メイスンはワクの無言の返答に対して一人思考を巡らせていた。




