オムレツ
「お前、今悪魔っていったか!」
ディアは自らの顔をガスツーンの眼前にぐっと近づけた。
「うっ・・・・」
ガスツーンは迫力に押されて言葉を詰まらせた!
「す、すみません・・・・助けてもらいたい一心でつい大げさに! 悪魔などと・・・・おそらく盗賊か何かに襲われたのだと思われます! 」
ガスツーンは改めて頭を下げた。
「いや、まぁ、そうだな・・・・盗賊だ! きっと! そうに違いない」
ディアは悪魔という単語と、ホビーという名前で、自分がしでかした出来事のような気がして、後ろめたさがいっぱいになった。
「ま、まあ、そこまで言うのなら力を貸してやらないでもないぞ!」
ディアはガスツーンから目を反らして話をした。
「ありがとうございます! ありがとうございます」
ガスツーンは深々と頭を下げた。
「ま、まあ助けてやるが・・・・旨い物を食わせてくれたりするのだろうな・・・・」
ディアは照れ隠しで言い訳を作りたかった。
「それはもう、当屋敷の料理長のオムレツなどは絶品でございます!」
ガスツーンは自信をもって答えた。
「オムレツか! なかなかいいな! そういうことだメイスン」
ディアは言い訳ができたと思い、メイスンをチラ見した。
「オムレツですか! どんなものかはわかりませんが、楽しみですね!」
メイスンは目をキラキラさせて喜んでいる。とても、数分前まで切り殺そうとしていた同一人物とは思えなかった。どうやら食事というものに目覚めてしまったようだ。
こうして、ディアとメイスンは晴れてロバート子爵救出隊のメンバーに参加することになった。
ガスツーンの案内で子爵屋敷にやってきたディアとメイスンは、早速料理長のオムレツを食していた。
「ガツガツガツ」
「ガツガツガツ」
「ど、どうやら、お気に召されたようで何よりです・・・・」
2人の強烈な食事風景を見て、ガスツーンは引きながらも、二人が満足していることに安心した。
「このオムレツは、なかなかうまかった! なあメイスン」
ディアは満面の笑みでメイスンに問いかけた。
「はい、まさに! 魚を焼いたものとは、また違った美味しさでございました!」
メイスンは、直前までの激しい食べっぷりを忘れてしまいそうな、おしとやかな表情で応えた。
「食事も終えられたようなので、さっそく会議室の方に、お願いします!」
2人はガスツーンの案内で会議室に向かうと、そこには屋敷の者数名と領内から集められた救出隊5名がディア達を待っていた。
「遅い!」
救出隊の1人が睨みながらガスツーン達を責めた。
メイスンは剣の柄に手をかけたが、ディアがさりげなく手をかざして、メイスンを抑えた。




