新世界
吾郎は、清々しい気分で草原を歩いていたこのお目付け役がいなければ、もっといいんだけど・・・・」
吾郎は、後ろをついて歩く美少女を横目で眺めた。彼女はシャーリーが無理やりに吾郎に付けた悪魔である。
吾郎は悪魔神城でシャーリーから、この1万年前に起きた事を全て説明を受けた。最初こそ、ショックを受けた吾郎であったが、悪魔の心の力なのか、次の瞬間には全くの平常心になっていた。
吾郎はシャーリーから1万年前に悪魔神つまり吾郎から世界中に悪魔神のオーラ、今の人類がいう魔力が降り注いで生物のほとんどは死滅し、文明も全て滅んだことを知った。
それから1万年の間に生物は進化し、文明も生まれたのだという。今の社会は、その時降り注いだ魔力により、成り立っているのだそうだ。
つまり吾郎から漏れ出た、吾郎にとっては有り余る魔力の僅かなカスのような魔力エネルギニーにより人は生活し、魔法まで使用できるようになった。
この魔力エネルギーにより1万年前に電気エネルギーは消失し、すべての生きとし生けるものは魔力エネルギ―により生を享受できている。今吾郎がいなくなれば、すべての生物は、その瞬間に死亡するのだそうだ。
吾郎はこれらの話をきいても、やはり平常心でいられた。そんな自分に少し驚きはしたが、それ以上に吾郎が驚いたことは鏡を見た時だ。
1万年前は50代であったはずの吾郎の見た目は、どう見ても20代半ばになっている。
吾郎は素直に嬉しかった。しかも微妙に美形寄りになっている気がした。
さらに吾郎はシャーリーから現在の世界について聞かされた。1万年の間に地殻変動が起こり、世界の陸地は1つの大きな大陸になっていた。大陸の周りは海に囲まれて海には巨大な魔物まで存在しているのだそうだ。
文明は大小の国が存在するが、悪魔神城に隣接している王国のような典型的な人族の国もあれば、魔王が支配している魔王国もあった。さらには悪魔神を信仰している神国も存在し、それらの国はお互いが相容れない存在で戦を繰り返しているという。
吾郎はシャーリーの話は、しっかりと受け止めることができた。しかし、もともと自然の中でのんびり暮らしたいと思っていた彼にとって、巨大とはいえ城の中に籠って生活をすることは受け入れられなかった。
「話はわかったけど、どこか住みやすいところを探しに旅に出ることにする!」
吾郎が悪魔たちに宣言したときには悪魔達は心から嘆き必死に吾郎を引き留めた。
定期的に悪魔神城に転移して顔を見せるという条件でやっと旅に出ることが許された。
ただし、それについては2つの条件が提示された。
1つは必ず、護衛を1名以上つけるというもの。実際は吾郎が勝手にどこかに行ってしまわないように吾郎を監視するためだ。彼を傷つけることができる存在などいないのだから・・・・
そして今吾郎の護衛という名の監視をしているのはジェネラルデーモンのメイスンである。
もう1つは魔力封じの指輪を装着すること。これは先代の悪魔神が作成したもので、その力を1万分の1まで抑えることができるのだという。
これを装着しなければ、吾郎のちょっとした不注意で世界を消滅させてしまう可能性もあるためだった。
シャーリー達、悪魔幹部は基本的には神に等しい力を有するため、悪魔神城がある山々から外には出ることはないとの事だった。しかし吾郎が必要であれば、いつでも駆けつけるとの事であった。




