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ワク男爵

「ホビー男爵―っ」

 チンクルが叫びながら、ドレッドとホビー男爵の前にさっそうとは言えないが、どたどたと降り立った。騎士団長は、そんなチンクルをほほえましく見ていた。馬1頭で2人を乗せて逃げてきたドレッドに比べ、やはり馬2頭で追ってきた2人は早かったようだ。


 ドレッドは舌打ちし、剣を抜いてホビー男爵に突き付けた。

「それ以上近づくな!」


「盗賊よ、もはやこれまでだ! 諦めて観念しろ」

 騎士団長は剣を抜きじりじりとドレッドとの距離を縮めた。


「ぐうぇう」

 突然ドレッドが口から血を吐いた。

「な、なに~!」

 ドレッドの腹の先から剣が突き出ていた。

「お、お前は」

 ふぉれっどが振り返ると、そこに立っていたのは剣を掴んで不敵に笑みを浮かべるワクだった。


「わ、ワク様!」

 ワクを見て戸惑ったのは、チンクルやホビー男爵、騎士団長も同じだった。彼らは皆、洞窟の外で首だけになって転がっているワクの姿を見ていた。


「なぜおまえが・・・・」

 ドレッドが刺されたことにより、拘束を逃れたホビー男爵が手を伸ばしてワクを抱きしめようとした。


「父上、ご無事でしたか?」

 ワクはそういうとホビー男爵の腕の中に包まれた。


「どぶぁう」

 今度はホビー団者が口から血を吐いた。

「な、なぜだ・・・・」

 ホビー男爵は力なく、その場で崩れ落ちた。

 騎士団長が見ると、ホビー男爵の前には血塗られた短刀を持ったワクがたっていた。


「貴様、何者だ!」

 騎士団長はワクに対して剣を構えた。


「何者? 私は父であるホビー男爵の後を継ぐ、ワク男爵であるぞ!」

 そういうと、騎士団長を見るワクの目が赤く光った。


「はっ、男爵様」

 突然、騎士団長は剣を背中にひき、片膝をついてワクに忠誠の意を表した。


「騎士団長、何を」

 一部始終を見ていたチンクルは、騎士団長とワクを交互に見ている。


「チンクルをどうかしたのか、我こそはそなたの主人、ワク男爵である」

 再び、ワクの目が赤く光りチンクルを見つめた。


「もちろんでございます、ワク様」

 チンクルは両手を地につけ土下座のような恰好でワクに頭を下げた。


「んっ、両名とも大儀である」

 ワクは満足したように2名に答えた。


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