指令
「悪魔神様、他にも何でもお聞きになってください」
ワクは目を潤ませながら、吾郎の役に立つ喜びに浸っていた。
「とりあえず質問は大丈夫かな・・・・じゃあ、そろそろ・・・・」
吾郎はワクに別れを告げようと考えていた。
「魔王神様、それでは何でもお命じください」
ワクは前のめりで吾郎の指示を待っていた。
「えーめんどいなー、もうどっか行ってくれないかな・・・・」
「そうだ! 君もともと人間だよね! せっかくもとの子供と同じ姿なんだから、その家で幸せに暮らすとか!」
吾郎は我ながら良い考えだと思った。子供を亡くした親からしたら、多少性格は変わってしまったかもしれないが、子供が戻ってきたら喜ぶだろうと!
「はっ! かしこまりました! 先ほど逃げた人間たちを利用することがよろしいかと・・・・」
ワクは吾郎に命令を受けたことにより、喜びを隠せないようだ。
「利用? 言っている意味がさっぱりわからないな・・・・」
「まあいいや・・・・後は任せるから好きにしていいよ」
吾郎はかなりめんどくさくなり、投げやりだった。
「御意! さっそく、あの人間にとどめを刺してまいります!」
ワクは立ち上がり、最敬礼をした。
「御意って、それにとどめって何のことだよ・・・・」
「まあ、君が幸せになるなら・・・・それでいいよ」
吾郎はもうどうにでもなれという思いであった。
「はっ、それでは失礼させていただきます」
ワクはそういうと、ドレッドたちが馬で逃げ去った後を、追いかけた。その姿は一瞬で見えなくなった。
「やっと、いなくなった・・・・それにしても悪魔っていったい・・・・これからどうしよう・・・・」
吾郎は空を見上げて途方に暮れた・・・・
「んっ、なかったことにしよう!」
吾郎は自身が悪魔神ということや、ワクの事をすっぱり忘れてしまおうと決心した。
「とりあえず、遭難してることに変わりないから、どこかの町か村にいきたいな」
吾郎は自身の当初の状況を思い返し、一人の人間として行動することにした。
そのころ、ホビー男爵を連れた、ドレッドは馬を休ませるため、小休止をとっていた。
「おい盗賊よ、もはやお前の仲間は全滅した! いつまでも誘拐なんて真似を続けずに、さっさと他国にでも逃げたら、どうだ」
いまだ縛られて連れまわされているホビー男爵は、何度も逃げ出そうとしたが、実力は本物のドレッドにその都度抑え込まれていた。
「そんなことより、あの化け物は、なんなんだ! お前同じ牢に入っていたんじゃないのか?」
ドレッドは恐怖心を隠さずにホビー男爵に尋ねた。
「隠してるわけではないが、本当のところワシも何も知らん! 牢にいたときは普通の良くいる村人のようだったが・・・・」
ホビー男爵も洞窟の外での出来事を思い返すと身が震えるようだった。
「チンクル、それに騎士団長・・・・無事でいてくれればいいが・・・・」




