進化
「悪魔神様、デビルシャドウは名前ではございません。種族名でございます。私のような下賤のものに名前などございません」
デビルシャドウは頭を下げたまま答えた。
「名前はないのか・・・・なんだかかわいそうだな・・・・もとの人間はなんていう名前だったか、わかるかい?」
吾郎はワクの姿をしているシャドウデーモンに尋ねた。
「はい、この人間はワクという名であったようです!」
シャドウデーモンは相変わらず同じ姿勢のままだ。
「そうか、じゃあワクって名のったらいいんじゃない!」
吾郎は気軽な気持ちで話した。
「あああああっ、私のようなものに悪魔神様が名付けをしていただけるとは!」
突然シャドウデーモンは天を仰ぎ見ながら涙を流した。
「え、えええっ」
吾郎はシャドウデーモンの反応に戸惑いを隠せなかった。
「今のって、オレが名前つけたことになるのか・・・・?」
やがてシャドウデーモンをオーラのようなものが覆った。
「おおおおおおっ!」
シャドウデーモンは、さらに大きな声で叫んだ。オーラの霧が晴れると、シャドウデーモンはキリッとした表情で吾郎を仰ぎ見た。
「悪魔神様に名をつけていただいたお陰で、ナイトデーモンワクに進化することができました」
「えっ、見た目何も変わってないけど・・・・」
吾郎はどぎまぎしていた。
「・・・・まあ、いいか」
「ところで色々聞きたいことがあるんだけど、いいかな・・・・」
吾郎は低姿勢で尋ねた。
「はい、悪魔神様のお力になることが私達悪魔の至上の幸福でございます」
ナイトデモーンは両手を吾郎に掲げて喜びを表現している。
「そ、そうなんだ・・・・」
「まずは・・・・ずっと悪魔神って呼んでくれるけど、どうしてかな?」
吾郎は小声で聞いてみた。
「もちろん宇宙で最も偉大な悪魔神様でいらっしゃるからでございます!」
ワクはかなり大げさにまるで、舞台俳優の様に返答した。
「なるほど・・・・全く意味が分からない・・・・」
「そもそも悪魔神って何?」
吾郎はワクと話すのは疲れるなと感じてきた。
「宇宙の支配者であり、我々悪魔の創造主様でございます」
ワクは確かに神を見るように吾郎を仰ぎ見ている。
「益々意味が分からない・・・・確かにワクの事は作ったみたいだけど・・・・これ以上話しても・・・・」
吾郎はワクから何かを聞き出すことを諦めた。




