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吾郎登場

 洞窟の外には、救出隊の死体が散乱していた。盗賊の他に生きている人間はホビー男爵と騎士団長、それに気絶して横たわっているチンクルだけだった。


「うううううっ」

 ホビー男爵は涙が止まらなかった。眼前には自身の配下である騎士や従者の亡骸が散乱している。さらに彼の心をどん底まで落としたのは、首だけになって戻ってきた息子ワクであった。


 騎士団長はドレッドをひたすら睨みつけていた。彼は身を包んでいた父から譲り受けた鎧をはがされ、全裸で四つん這いにさせられていた。


「おい、いい加減目を覚ませ!」

 盗賊に一人が殴りつけて、チンクルは目を覚ました。


「チンクル!」

 ホビー男爵は声を震わせながらチンクルに声を抱えた。


「旦那様!」

 跪いて、首に刃を尽きてけられているホビー男爵を目にしてチンクルは自身の無力を心から嘆いた。


 3名の様子をじっと見ていたドレッドは落ち着いた声でホビー男爵に声を掛けた。

「男爵よ、そろそろ終わりにするか! お前に順番だけ決めさせてやるぞ!」

 ドレッドは三名の周りを剣を肩に担ぎながらぐるぐると回った。

「こいつか、それともこいつか?」


「・・・・」

 ホビー男爵は唇をかみしめ、口から血を流しながら、自身の最期を覚悟した。



 吾郎は洞窟の中を出口に向かって歩いている。

「なんだか外の方が血なまぐさいな・・・・動物でもさばいているのかな? やっぱり田舎の方は今でも家畜を調節解体したりするんだろうな・・・・」

 呑気なことを考えながら吾郎はひょっこり、洞窟の外に顔を出した!

「えっ? 何これ?」

 吾郎の目に最初に入ってきたのは、全裸で四つん這いになっていた騎士団長であった。

「へ、変態? 見なかったことにしよう・・・・」


「逃げろ!」

 ホビー男爵は吾郎に叫んだ。


「えっ、あれ同室のコスプレおじさん・・・・」

 吾郎はやっと洞窟の外の景色を見て、何が行われたのか理解した。

「これって、マジなやつなのか? 」

 

「おい、お前どうやって牢から出た!」

 盗賊の一人が剣を振りかざして吾郎に近づいてくる。しかし吾郎には不思議と恐怖心はなかった。

 それどころか、目の前に広がる死体の山や血の海をみて、体中が高揚していた。


「なんだかワクワクするな!」

 吾郎の顔は満面の笑みだった。


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