ワク
「チンクル、もう走れないよ」
ワクはチンクルに引かれている手を放して立ち止まった。
「坊ちゃん、いつ奴らの追手がやってくるかわかりません。もう少し頑張ってください」
チンクルは再びワクの手を引き、走り出した。ワクも必死な形相でチンクルについていった。
護衛の騎士たちも手傷を追いながら。チンクル達を先導した。
「走れ! 走るんだ!」
突然騎士の一人が叫んだ! チンクルが振り返ると砂塵の中に複数の馬に乗った盗賊が目に入った。
チンクル達は必死に駆け出した。しかし馬の足に人間が敵うはずもなくあっという間にチンクル達は追いつかれてしまった。
「ここは我らに任せて、お逃げください」
騎士たちは盗賊に向けて切り込んだ! チンクルとワクは後ろを振り返らずひたすら走った。力尽きた二人は大きな木の陰に腰をおろして、盗賊から身を隠した。
「チンクル、僕怖いよ・・・・」
ワクは震えていた。チンクルは何も言わずにワクを抱きしめた。いつの間にかチンクルは疲れて眠ってしまった。
目を覚ましたのは生暖かいものを感じた時だった。チンクルが目を覚ますと、腕の中には目を見開いたワクがいた。
「鬼ごっこは、もう終わりだな」
チンクルの周りには複数の盗賊の姿がり、一人の盗賊の手には生あたたかい血がべっとりと付着したタガーナイフを握り締められていた。
「あっあっあ」
ワクは腹部をタガーナイフで刺され、声を出すのもやっとの状態だった。
「ワク様!」
ワクが刺されたことを知ったチンクルは必死に刺されたワクの腹部を抑えた。
「ワク様―、しっかり!」
チンクルは我を忘れて叫び続けた。
「ドガッ」
盗賊はチンクルの後頭部を殴りつけた。チンクルの意識はその瞬間なくなった。
次にチンクルが目を覚ますと、目の前にはワクがいた。
いやワクの頭部が見えた。
「わああああああああああああ」
チンクルはパニックになった。気絶したチンクルの眼前に切断されたワクの頭部が起これていたのだ。
「わあああああああああああっ」
チンクルは頭がおかしくなりそうだった!
「ドガッ」
再び、チンクルは頭部を殴られて気を失った。盗賊はチンクルを馬に乗せ、別の盗賊がワクの頭部を掴んで洞窟に戻っていった。
吾郎は何やら洞窟が静かになって、一人牢に残され外の様子が気になってきた。
「誰も迎えに来ないな・・・・そろそろお腹もすいてきたし、ご飯の事でも聞きに行ってみるか!」
吾郎はゆっくりと立ち上がり、牢を出た。牢の付近に人影はなく、妙に静かであった。
「みんな、オレだけ残して、何処に行ったんだ!」
吾郎は空腹で少し機嫌悪く、洞窟の出口に向かって歩き出した。




