カバ
「ディアの言うように、狼男がいるってことは、ここは少なくともエルフの国じゃないのかな?」
ランドは、少し残念そうだ・・・・
「いや、エルフの国にだって、魔物はいるんじゃない! こんな素敵な場所なんだから、きっと美形のエルフがいるはずよ!」
リウはまだ、希望を捨てていないようだ! 三人は嵐にあって、このビーチにたどり着いたが、ここがどこなのかは全くわかっていなかった!
「ねえ、お嬢ちゃん、ここは何て、名前の国なのかは知ってるかな?」
「国って何?」
彼女は首を傾げた・・・・
「んーっ! だめか・・・・」
リウはあたりをキョロキョロした。
「人がいるってことは、町が村があるはずだから、とにかく探してみましょう! この子のことを知ってる人もいるかもしれないし!」
3人は名残惜しかったが、ひとまずビーチを離れて、人がいそうな場所を探すことにした。幸い、ビーチから少し内陸に入ると、馬車が通っていそうな街道に出ることができた。
「この道進んでいれば、そのうち誰かの会うんじゃないか!」
ランドは安心したようで先頭を力強く進んでいった。すると、10分も経たないうちに、商人らしき馬車が、街道の先に見えた。
「おっ、早速だな! おーい!」
ランドは手を振って、馬車に駆け寄っていった。
「エッ・・・・」
ランドはその光景を見て、声を詰まらせてしまった。
御者台にいたのは人ではなく、大きな体をしたカバであった!
「な、なんでカバが・・・・」
「えええっ!」
驚いたのはランドの方だけではなかった、御者台のカバも突然声を掛けてきたのが、人間だったため、戸惑いを隠せないでいた。
「な、なんで人間が、こんなところに・・・・どうしよう・・・・」
カバの彼は商店に勤務する心優しい青年だった。未だ独身であったが、数回のお見合いを繰り返し、結婚を夢見ている。カバの彼の食事は、畑で栽培した野菜が主であったが、週に何度かは人間の肉も食べている。しかし、それは調理された料理の中の肉であり、生きている人間を見るのは、商店の店主の娘が飼っている人間を見て以来、2度目であった。
「き、きっと誰かが飼っているペットが逃げ出したんだな・・・・だけど、人間って噛むって聞いたことあるし、怖いな・・・・早く、どこかに行ってほしい・・・・」
カバの彼は恐怖で体が硬直していた!
カバが御者で驚いたランドであったが、流石は長年冒険者をやっているだけあって、慌てず冷静に、街道をゆっくりと戻り、ディア達のところに戻ってきた。
「あの馬車の御者なんだが、どう見てもカバなんだが・・・・」
ランドは見たことを、そのままディア達に伝えた。
「か、かば・・・・」
ディアは、昔動物園で見たカバの事を思い出していた。
「わかったわ!」
突然リウが閃いたように、声を弾ませた。
「ディアのあった狼男といい、カバの御者といい、この国は獣人の国なのよ!」
「獣人か・・・・だけど、あそこにいるのは獣人っていうよりカバそのままだけどな・・・・」
ランドは、どこか引っかかっているようである。
「オレがあったのも、獣人っていうより、狼そのものだったような・・・・」
ディアもランドの話をきいて、同じような気持ちになった。
「もう2人とも、男のくせにぐずぐずと! わかったわよ、獣人の国じゃなくて、ここは獣国なのよ!」
リウは自信たっぷりに言い放った!
「えええっ」
ランドは大げさに驚いた。
「獣って・・・・獣ねぇ・・・・」
ディアは納得したような、していないような気分だった。




