奴隷
「貴様!」
灰色狼はこれまで、人間に反抗されたことは一度もなく、どうしていいかわからずあたふたしていた。なんといっても彼は、逃げた家畜を回収しに来た一スタッフに過ぎないのだから・・・・
「・・・・」
灰色狼は、それ以上ディアを相手にせず、殴られて倒れていた灰色狼に肩を貸して引き上げていった。
「なんだ・・・・あっさり引き下がったな・・・・なんだか拍子抜けだな!」
ディアは少しがっかりして、ランド達のところに戻っていった。
「え、なんで?」
ディアがもどると、当然のように、女の子が焚火を囲んで魚にかじりついていた。
「あ、わるい・・・・なかなか戻ってこないから先に食べ始めちゃった」
リウはディアが先に食事をしていることに驚いたと思い、一応謝ってみせた。
「い、いや・・・・まぁ、それもあるけど・・・・誰?」
ディアはわき目もふらずに食事を続ける少女を指さして尋ねた。
「あ、ああ、こっちね! 迷子よ! もうそこそこ大きいと思うんだけど、家の場所もわからないんだって!」
リウも、魚を食べながらディアに答えている。
「そ、そうなんだ・・・・よろしくな!」
ディアは状況をやっと理解したようで、少女に軽くあいさつした。少女は魚を頬張りながらも、目でディアの方をみて、軽く会釈した。
「そんなことより、何してたの? ずいぶん遅かったな!」
ランドは一生懸命にカニの身を取りながら、ディアに尋ねってきた!
「あ、それがな・・・・」
ディアは先ほど起こった狼たちとの遭遇と、赤ずきんちゃんの話を、かなり詳しく3人に話した。
「なんだ、狼男って・・・・」
ランドとリウは、ディアの話を半分以上作り話だと思って、適当に流して聞いているようだ!
だが3人のうち少女だけが、ディアの話に強く反応した。
「狼さん! 狼さん!」
少女は突然ディアの肩を掴んで、激しく声を荒げた。
「な、なんだ・・・・もしかして、あの狼たち、お前の知り合いなのか?」
ディアが尋ねると少女は首を縦に大きく振って見えた。
「そういえば、あいつら女の子を探しているみたいなこと言ってたような・・・・」
ディアが考え込んでいるとリウが声を掛けてきた。
「なるほどね! わかったわ! ディア、これを見て!」
リウは少女の耳につけられているプレートをディアに示した。そこにはN563の文字がある。
リウはディアに少女が奴隷である可能性を話した。
「そういうことか、どうりであいつら態度が悪いと思ったんだ!」
ディアはだんだん腹が立ってきた。
「わたし、狼さんのところに帰りたい!」
少女はディア達に真剣な目で訴えてきた。
「どういうことだ・・・・」
奴隷ならば、戻りたいというのは不自然である。ディアが戸惑っていると・・・・
「そうなのよ、私たちも、さっきからそういわれて、どうしたものかと思っていたの・・・・」
リウは困った顔をした。
「洗脳とか、そういうものなのかな・・・・」
ディア達はひとまず少女を保護して、共に行動することにした。




