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句読点はどこにつける?

 句読点のつけ方次第で、その小説の印象はガラリと変わります。読者にとって心地良い「点」「丸」の数や箇所とはどこなのでしょうか。


 私からのアドバイスとしては、「あなたが読みやすいと思う箇所に点を置き、最後に丸をつけて一文を終わらせよ」。まさか自分が読みにくいようにする人はいないと思いますが、小説の内容に気を取られて、「点」をつけ忘れる方、けっこう多いんです。


 では、さっそく例文で実際に比べてみましょう。



【例文】

 明日の午後一で使うプレゼンの資料作成が一向に終わらず気づくと朝になっていた由紀子はようやく終わったそれを人数分プリントしファイリングまで済ませてからソファになだれ込むとまぶたの上に腕を載せて目を閉じた


 まず、「点のつけすぎ」の例を書きます。


【例文1】

 明日の午後一で使う、プレゼンの資料作成が、一向に終わらず、気づくと、朝になっていた。由紀子は、ようやく終わったそれを、人数分プリントし、ファイリングまで、済ませてから、ソファになだれ込むと、まぶたの上に、腕を載せて、目を閉じた。



 これだと、「点」の多さが気になって、書かれている小説の内容に集中しづらくなってしまいます。句読点は、本文中の文字と大きさや書かれる位置などが異なり、いやでも目立ちます。「点」のたびに、視覚的にも感覚的にも、0.3秒程度の間が出来ると考えてください。不必要な箇所に「点」がつくことで、0.3秒が三回連続すると、それは合計一秒、もっと長く感じられる場合もあります。


 丁度良い数・箇所の時には、まるで息をするように馴染む文章が、いちいち途切れながら状況を知らせてくるような、そんな違和感。どうしても「点」で区切って確認してしまいがちな方は、読み返す時に少なくするという方法もあります。


 次に、「点が少なすぎる」例。


【例文2】

 明日の午後一で使うプレゼンの資料作成が一向に終わらず、気づくと朝になっていた。由紀子はようやく終わったそれを人数分プリントしファイリングまで済ませてからソファになだれ込むと、まぶたの上に腕を載せて目を閉じた。


 この例文で描かれているシーンは、「主人公の行動、時間の経過」なので、「誰が」「何をしたか」を、読者にわかりやすく伝える必要があります。


 誰が=由紀子が、資料をプリントする、ファイリングする、それからソファになだれ込む。


 主人公の名前と、上記三つの行動がおなじ括りの中にあるので、実際よりも短い時間のように錯覚してしまいます。


 また、適切な箇所に「点」がないと、文章を理解するために、一度読んだ部分を何往復もすることになり、結果、読みにくい、(話が)わかりづらい、という印象を持たれることに繋がるのです。


 もちろん、状況によって必ずしも行動のたびに「点」を置く必要はありません。キャラの動作をよく観察して、それを書き取り、読みやすい文章にしていきましょう。


 最後に、私の文章だと、以下の位置につきます。


【例文3】

 明日の午後一で使う、プレゼンの資料作成が一向に終わらず、気づくと朝になっていた。由紀子は、ようやく終わったそれを人数分プリントし、ファイリングまで済ませてから、ソファになだれ込むと、まぶたの上に腕を載せて目を閉じた。


 由紀子は、と、「名前」のすぐあとに「点」を置くことで、主人公をすぐに認識出来、これは由紀子の行動だと、読む前から読者に伝えられます。コンマ何秒という単位の話ですが、これは物語を楽しむうえで、とても重要なことなのです。


 ソファになだれ込んだあとが一括りになっているのは、このシーンでの由紀子が「資料をプリントする」「ファイリングする」といった「行動」ではなく、「動作」であるからです。もちろんこの例文に限ったことで、「動作」がすべて「点」なしで成り立つわけではありませんが、この違いを頭に入れておくと、ごく自然でなめらかな文章として、読者の心に響くものが書けるようになるでしょう。



 句読点の位置、数も作家の個性の一部ですが、読者が「読みたい!」と思う気持ちを削ぐことがあっては、元も子もありません。いま、例文を使って紹介してきたコツを参考に、自分の文章は必ず、何度も読み返し改良していく。それを忘れないようにしてください。

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