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ごあいさつ

はじめましての方も、古くからの読者の方も、こんにちは。薫野みるく(カオルノ・ミルク)です。


 昨今のまわりくどいネット記事なんかが大の苦手で、イライラするので、すぐに本題に入ります。私は、「文章を書くのが好き・そこそこ得意」と人に話すと、まぁ、ふうん、くらいに軽く返されるのですが、それが「小説を書いている」に変わると、決まって言われるんです。「すごいですね!」と。


 すごい? 何が。読んでもいないのに何がわかるってんだ。


 だって私がどんな言葉を使って、どんな話で、どれくらいの長さの小説を書くのかわからないでしょう、と。私に言わせれば、いまや小説なんか誰にでも書けます。その質を問わないのなら。



 九十年代後半からパソコンの普及が一気に進み、一家に一台、そして一人一台以上を持てる時代となりました。そして現在では、スマホという手のひらサイズのパソコンとも呼べるものを、多くの人が所有し、日常的に活用しています。つまり、昔よりも格段に、「書ける環境」がすでに整っているというわけです。今この本をお読みくださっているあなたも、通学、あるいは通勤中に小説を書いた経験をお持ちかもしれません。


 私が小説を書き始めたころ、我が家で一台目となるパソコンを購入しました。にも関わらず、私は去年までずっと紙に小説を書き、それをタイピングするという作業をしていたのですが、つい数ヶ月前にやっとデジタルデビューをして、思ったのです。最初からデジタルって、こんなにラクなのかと。アナログで小説を書く作家は、つい先日までの私を含め絶滅しつつあるし、論点はそこではないので、ここからは「デジタルで書いている人」だけに焦点を絞って綴っていきます。


 話を戻します。「書ける環境」が整っているいま、それを発表する場もインターネット上に増えました。さらには小説同人誌の発行など、オフラインでの活動も兼ねている方も多いことでしょう。


 書かない人に言わせれば、小説を書けるのは「すごい」ことのはずなのに、その「すごい」人が何百、何千、それ以上といる。なぜでしょうか。理由は簡単です。「作者の頭の中で展開されている物語のごく一部、つまり登場人物が言ったこと・起こったことの書き写し」という新ジャンルの小説が増えてしまったからです。



 スマホで書いた自作の文章を、読み返しもせずに即刻投稿サイトにアップする。便利とはイコール良いものではありません。誰でも気軽に簡単に、何の勉強もせずに文章を書き、誰かに読んでもらう。誰かとは、およそ彼らが書いたジャンルに興味のある、はじめから作品に好意的な人です。その人の脳内には、すでに「ジャンルのお約束」という基盤が出来ているので、上記のような「書き写し」からなる「自称小説」でもシーンが思い浮かべやすいのです。


 作者の頭の中では、自分の作品がアニメ映像となって流れているのだと思います。台詞と出来事を書き写します。キャラクターの背後で何が起こっていようが、何を思っていようが、表情の変化すらおかまいなし。無視です。読者はわずかな情報から、作者が見ているのと同じ映像を見つけ出します。すると不思議なことに、まるでその小説自体が優れた描写をしていたかのように感じられるのですね。



 子供向けの絵本を思い出してみてください。たとえば「シンデレラ」。シンデレラが義理の姉にいじめられるとは書かれていますが、それでシンデレラがどんなにつらかったか、毎日何を想っていたかまでは記されません。絵本では少ない文章量で、シンデレラが妃として迎えられるまでを描く必要があるので、細かいことは子供の想像で補われる必要があります。


 最近よくある「書き写し小説」は、まさに子供向けの絵本のようだなと感じました。


 いきなり話が飛ぶ。大事なシーン転換が、一文だけで説明されている。自分は小説なんかとても書けないと思っている人も、ためしに「シンデレラ」にチャレンジしてみてください。子供向け絵本程度の文章にはなるはずです。もう一度言います。小説は、誰にでも書けるのです。



 では、誰にでも書けるとは言えないもの。情景描写が優れた小説を書くにはどうしたらいいのでしょう。作家はみな言います。「とにかく本を読め」と。私はプロではありませんが、小説を書き始めて早十何年、それなりに上達はしました。その間、本は二冊程度しか読んでいません。もっと言いますと、自分の年の数すら、本を読んだことはないのです。


 どうでしょうか。私の文章は、読みやすくありませんか? この文章力が本を読まずして手に入ったら、「書き写し」ではなく自分の個性を活かした執筆が出来たら、楽しいとは思いませんか。


 私は、他人の書いた小説が苦手です。その人の文章のクセ、多く使いがちな単語、読めない漢字、あらゆる手段をもって、私を立ち止まらせます。無理に読む必要はないんだぜ、と。私は、そうして多大なストレスをかけてまで、本を読むことはない、と諦めました。母が読書家なので、我が家にはきっと千冊以上の本がありますが、それを私が手に取ることはないでしょう。


 これから皆さんに「薫野みるく式・小説の書き方」を、丁寧にお教えします。まあつまり、才能があればおのずと文章は書けるようになるのですが、べつにそんな秀でたものはないおまいらのために、みるくさん、がんばっちゃうもんね。


 これを読み終わる頃、きっとあなただけの小説を、書きたくなっているはず。


 私は、「もっとうまく書けるようになりたい」と思うすべての人のために、私の持つ知識、経験、心理的アプローチについてを、惜しむことなく書き切ることをここに誓います。

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