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 身体的に改造されているわけではない。遺伝子のちょっとした操作は行われているようだけれど、眠りの世界にあるSF世界程の技術にはまだ到達していないようだ。ただ単純に優秀な軍人の精液と優秀な恋人の卵子を人工授精して産まれたに過ぎない存在だ。誰かのクローンっていうわけではないという。クローン技術はあるにはあるそうだけれど、人間には使用していない。美味しい牛や豚や魚に利用しているだけだそうだ。その理由はちゃんとある。人間は美味しい食べ物に目がないからだ。それは人間以外に対しての理由だけれど、意外と大事なことではあるらしい。人間についての理由はもっと単純だ。以前に失敗をしている。その過ちを繰り返さないためらしい。彼女はその話をしたとき、寂しげな表情を見せていた。

 僕達軍人と恋人達は、そうやって試験官の中で命が芽生えていく。そしてそのまま、人工の羊水の中で育っていく。遺伝子の操作は受精された時点で行なっている。詳しいことは彼女には分からないそうだけれど、その時点で軍人ならどの部隊へ配属されるかが想定されるようだ。恋人ならどの街の地下に派遣されるかが想定される。

 実際の配属先は生まれてから五歳までの教育で決められる。僕達や恋人達は、洗脳ともいえる英才教育を受けているってことらしい。

 まるで実感はないけれど、だからこそ恐ろしくもある。

 けれども大抵はその前に決まっているそうだ。生まれ持った遺伝子の力は強いという。優秀な軍人の子は、優秀な軍人に育つ。僕の種親は、優秀な先行部隊だったに違いないわよと彼女に言われた。ついでに彼の名前も付け加えていたけれど、明らかに不満そうな感情がこの背中に感じられた。

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