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スタタタッと前方から足音が聞こえてきた。二人分だとすぐに気がつく。背後からはそれとは別の気配を感じる。しかも二つだ。僕達は四人に囲まれたってわけだ。
少しは本気になったようだな。
彼は嬉しそうにそう言う。
冗談じゃないって僕は思う。僕は戦いが嫌いだ。人を殺すのは趣味じゃない。仕方がなく続けてきただけだ。十年間も。
けれど今は戦うしか道がない。僕は常にこうだった。生きるために誰かを犠牲にしてきただけなんだ。
地下通路は基本だだっ広い。四人が横に並んでもじゅうぶんすぎる幅がある。けれど、脇道も多く、急カーブやクネクネ蛇行する道も多い。まぁ、坂道が全くないのは助かるよ。
この道は少し狭く、二人が余裕を持って並んで歩けるほどしかない。四人でも並ぶことはできる。一人をおぶっているから尚更可能ではある。けれど、前から来た誰かとすれ違うのが面倒だ。道路はゆったりと歩きたい。そうしていれば敵襲をかわすのも容易になる。
前の二人は俺がやる。後は任せたよ。
彼はとても軽い感じでそう言った。ネギは切っておくからお湯を沸かしといて。そんな風景が思い浮かんだ。