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測定機能を解除する方法は幾つかある。一番確実で簡単なのは、手首を切り落とすことだけれど、それは痛いし後々不便だからやめておく。その次に簡単なのは、バーコードの一部をショートさせる方法だ。右から七本目の上半分をと左から三本目の下半分を電気で繋げればいい。皮膚は火傷してかなりの傷みを感じるけれど、手首は取れないだけましだ。傷も一週間程で癒える。この方法は、軍人なら誰でも知っている。敵地で戦う際に位置がバレては困るときに使用する。僕はまだ未使用だけれど、彼は使用済みだった。もっとも医療部隊によって修理はされる。彼はここにくる前にすでにショートさせていた。僕はこれからショートさせる。初めての体験はいつだってドキドキする。全く、このドキドキは恋とは違って嫌な気持ちだよ。
ビリッという音とジューッという音が順番に聞こえる。痛いなぁっていう感覚はあるけれど、我慢出来る身体になっていることが悲しい。僕はほんの少し眉をしかめてやり過ごす。
けれどまだ謎は残っている。彼女を病院へと連れて行けた理由が分からない。彼から連絡を入れたといっても、どうやってそんなことが出来るんだ? 病院は支配者の街にあった。彼が言う一般市民の街のグループの伝手を使ったとしても無理がある。そもそも彼は彼女の正体に気が付いていない筈だ。というか、今でも気づいていないように感じられる。
けれど彼が公民館に連絡を入れたのは確かなようだ。問題はその後だ。僕は思う。おじさんが深く関わっているはずだと。
僕の準備が終わると、それじゃあ行こうかと彼が言った。彼女はちょっと待ってと手提げ鞄からリップを取り出して唇に塗った。
そして出発する。