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 着替えを終えるとすぐにリビングに行く。天井やら外から流れてくる音楽に合わせて体操を行う。

 体操が終わればリビングで寛ぐだけだ。部屋には特になにもない。ソファーに座って、ボケーッとすることにはあっという間に飽きてしまう。背丈の低いテーブルの下に物置台のようなものがあり、そこにノートと筆記用具を見つけた。僕はそこに絵を描くのが好きだった。それがこの部屋でなにかをした初めての記憶だ。

 朝食は時間になるとキッチンテーブルの上に現れる。いつ誰がどうやって運んでいるのかは不明だ。なにかの仕掛けがあると考えるのがもっともらしい。

 朝食後の時間には決まりがある。どこからともなく聞こえてくる声を聞きながら勉強をする。初めはそれが勉強だとは思わなかった。ただその声に従うのが楽しかった。

 声を真似したり、その声に答えたりするだけで、僕は色々成長した。言葉はそうやって覚えていたようだけれど、いつの間にか十数種類の言語を覚えていたとは驚いたよ。ものの概念や数学的思考も身についていた。大体三年間は、耳だけでこの世界のことを学んでいた。

 耳だけでは得られない知識は、テーブルの下にいつの間にか置かれている本から得ていた。文字だけではなく、写真や絵が載っている。不思議だけれど、絵という概念を知る前から僕は絵を描いていた。

 絵だけはない。音楽の概念もまた、教わる前から備えている。


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