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忙しいところ悪いが、伝言があるんだ。
背後から声をかけられた。そうだった。忘れていたことは他にもあった。おじさんにも感謝はしている。こうして無事に病院へと向かえるのはおじさんの電話のおかげなんだから。・・・・電話はおじさんがしたんじゃない。かかってきたんだ。僕は全てを思い出した。
さっきの電話って、彼からだよね?
背を向けたまま僕がそう言うと、おじさんが頷く気配を感じた。
君の言う彼が誰だかは分からないけれど、きっとそうだよ。君の友人からだとさっきも言ったろ? その彼から伝言を頼まれていたんだ。一緒には行けなくなったそうだ。無事を祈っている。いつか必ず会いに行くと言っていたよ。
僕は振り返っておじさんを見つめた。睨みつけていたわけではない。嘘を吐いているとは思っていない。ただその言葉の真意を知りたいだけだ。
彼が来ないかものと予感はあった。というか、確信に近かった。ショックではあるけれど、受け入れている。というか受け入れざる終えないと言った方がいい。