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 それで今の電話は誰だったんだ?

 僕はトランシーバーの周波数を合わせながらそう聞いた。おじさんは彼女の傷を丁寧に消毒し、包帯を巻いている。どうやら医者をしていたことに嘘はないようだ。その仕草が手慣れている。

 君の友人じゃないのかね? 病院への手配は済ませてあると言っていたよ。もうすぐ迎えのヘリコプターが来るはずだ。それに乗って行けばいい。

 おじさんはなんだか少し寂しような表情を作りそう言った。

 ほれ、もう側まで来ているようだぞ。

 天井に顔を向けておじさんはそう言う。まるで空が透けて見えているかのような表情をする。

 さて、彼女を担架に移動させよう。

 おじさんは言いながら担架を取りに部屋を出て行った。

 うぅ・・・・ 彼女の呻きが聞こえてくる。僕は近づいて顔を寄せる。大丈夫だよ。もうすぐ病院に行けるから。

 うぅ・・・・

 僕の言葉に彼女が反応を示した。なにを言いたいのかは分からないけれど、首を小さく横に振る。そして薄く開いた目から涙を零した。

 僕は少し、嫌な予感がした。身体がぶるっと震えている。

 ガタガタッと音を立てながらおじさんが戻って来た。

 さぁ、これに乗せよう。もう時間がなくなるぞ。

 返事をする間もなくおじさんは彼女の肩を持ち上げた。僕は彼女の太腿を持ち上げ、すでにベッドと隣り合わせになっている担架に彼女を移動した。これでいいんだろうか? 何故だか頭の中がモヤモヤする。

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