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 なにを騒いでるの?

 蚊の鳴くような声が聞こえてきた。彼女はまだテーブルにうつ伏せたままだったけれど、意識を取り戻していた。

 大丈夫?

 僕は再び顔を寄せる。彼女の目が、薄く開いていた。

 ・・・・うん、大丈夫よ。ちょっと驚いただけだから。お水貰えるかしら?

 彼女にそう言われる前から彼が水を差し出していた。

 僕は彼女の身体をゆっくりと起こし、水を口元に持っていく。

 どうして先に気が付かなかったんだと、後悔している。

 彼女が突然倒れたことと僕の足から血が溢れ出たことで、店内は騒然としていた。多くのお客が僕達に注目をしていた。

 もっと警戒するべきだったのかも知れないけれど、そんな余裕も発想もなかったのが現実だ。

 彼でさえ、対応しきれなかったんだから仕方がない。

 その男は音もなくカウンターを飛び越えて来た。彼女の右隣に立ち、背中をナイフで突き刺した。

 突然のことだったけれど、僕は咄嗟に反応した。それでなんとか致命傷を免れることは出来たようだ。

 抱えていた彼女の肩をぐっと引き寄せた。身体全体で覆い被さろうとしたけれど、それは間に合わなかった。

 その男は正確に心臓を背骨の間から刺そうとしていた筈だ。僕が引き寄せたことで、ナイフは脇腹に刺さっていた。僕の身体に刺さればよかったのにと本気で感じていた。

 店内には多くの軍人がいた。というか彼女以外は全員そうだ。彼女を刺した男も例外ではない。敵軍の暗殺者だという可能性も充分に考えられるけれど、今となっては分からない。


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