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本気なの?
彼女は自分のグラスを用意してウィスキーを注ぎながらそう言った。
僕は冗談を言わない。君が好きなんだ。君のためならなんでもするよ。
僕は彼女を見つめる。彼には悪いけれど、完全に二人の世界を創り出していた。
それじゃあ・・・・ 彼女は一旦少し遠くを見つめてからグラスに視線を落とす。そしてゆっくりと持ち上げてゆっくりと回転させる。
あなたが軍人を辞めるなら、それもいいわよ。
彼女はグラスに口を付けながら、僕から視線を離さない。そしてそのグラスを肘でそっと持ち上げてウィスキーを喉に送り込む。
それよりも今日は彼と話がしたくて来たんじゃなかったかしら?
彼女は視線をそっと彼に向ける。僕は嫉妬する。彼女の瞳を強引に目力だけで引き寄せた。
明日にでも辞めてくるよ。丁度おかしな話を聞いていたことだし、決断をするなら今しかない。
あら、おかしな話ってなにかしら? 私の耳は入っていないわよ。
僕はまだ、彼女には相談をしていなかった。どんなことでも彼女にはすぐに伝えていたけれど、言い辛いこともある。僕が言わなくても、彼女はすでに知っていたなんてことも多い。だから特に隠していたつもりはなかった。むしろ、その後の彼女の反応には驚かされた。まるで予想していなかった反応が返ってきたんだ。