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二十歳の誕生日にはお祝いが用意されていた。それは戦場から戻ってきたときに気が付くことになる。テーブルの下に置かれた紙袋と一冊のノート。そういえば、朝の体操中に見たような気がしなくもなかった。
紙袋の中身は、この世界にはない筈の短銃だった。弾はすでに込められていて、予備は用意されていない。回転式で銃弾は六つしか入らない。
僕は初め、それが共通のプレゼントなんだと考えたけれど、そうではなかった。隣の彼になんとなく探りを入れると、全くの別物を貰えたようだと気が付いた。武器でないのは確かだけれど、何故だかはっきりとは教えてくれない。楽器関係じゃないかと勝手に想像している。
どうやら僕達が心の中で本気で欲しいと考えているものが貰えているようだった。他にも何人かに聞いてみたけれど、反応がそれを示している。全員がはっきりと教えてくれないのは、色々な意味で後ろめたさがあるからで間違いはないようだった。僕がそうだから・・・・
今のところは使い道がなく、戦闘服の内ポケットに眠っている。肌身離さないようにと始めのうちは私服のときにも持ち歩いていたけれど、使う機会なんてある筈はなく、いつの間にか戦闘服に入れっ放しになっている。