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 二十歳になるとこの部屋を出ることが許される。というか、半ば強制的に移動されることがある。一応は希望制になっているけれど、希望が叶ったという話は聞いたことがない。

 僕は希望を出していない。隣の彼も同様だ。

 部屋の移動は、建物の有効活用が目的だって噂だ。多くの死者が出れば、住人が減る。それはこの建物に限ったことではない。新しい軍人が毎年生まれているってことは、現存の建物だけではいつか足りなくなるってことだ。新しく作っている気配はない。空いた部屋に集めるのが効率的だ。

 この建物は今や満員だよ。幾つもの建物から軍人が集まってきている。希望で来ているのなら、ここは大人気物件ってことになる。その理由はなんだ? 実は心当たりがある。ここは戦場までの距離が短いんだ。そして、見た目の綺麗な恋人が集まるとの噂もある。まぁ、希望は叶わないっていう噂だから、ここへやってくる軍人は強制収容されているのと変わらないのが現実だったりする。この街の戦場は、きっととても重要なんだと思われる。その理由は分からないし、正直分かりたくもない。

 この建物が解放されたのは僕達全員が二十歳になったときだった。その日から常に満員だ。入れ替わりは激しいけれどね。

 その日以前は訓練が始まった翌月辺りから毎日減っていくばかりだった。朝の行進時も、足音で建物が揺れるなんて体験は久しくしていなかった。

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