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辿り着いた先には多くの軍人と恋人が一つの巨大な扉を前に並んでいた。
扉が開くと中から一組の軍人と恋人が出てくる。そして待っていた別の一組が扉の中に入って行く。
初めてのときは物凄く緊張をした。中でなにをしているのか分からなかったからだ。分かってからは緊張はしなかったけれど、僕としてはいい気分ではなかった。
呼ばれるまでに二時間は経っていた。もっと効率良く出来ないものかと毎回感じている。大したことはしていないんだ。部屋数を増やすだけで解決する。
ようやく僕達の番になって中に入ると、白衣を来た女性が一人いるだけだった。真っ白な空間で、白衣の女性以外はなにも見えないようになっていた。壁からの光と煙で隠しているようだ。けれどその部屋に彼女以外の人はいないことは感じられた。僕達軍人は、そういったことには敏感なんだ。
中に入るとすぐ、恋人がなにかを白衣の女性に手渡した。
それが僕の種が入った瓶だと知ったときはショックだったよ。
白い液体の入った二本の瓶だった。白衣の女性はその瓶を眺めてこう言った。
これじゃあちょっと足りないわね。ここで出してちょうだいな。
僕の目を真っ直ぐに見つめながらそう言われた僕は、何故だかとても興奮してしまった。
あなたはチェックがあるから奥へ行ってなさいと恋人は言われてそれに従う。
さぁ、手早く始めましょうと白衣の女性は僕へと近づいてくる。目の前まで来るとしゃがみ込み、ズボンを脱がせて種を搾取した。
瓶に入れられた液体を眺めて彼女は、これだけあれば合格ねと、僕の目の奥を覗き込みながら言っていた。
僕にとっては屈辱だった。恋人以外にそんなことをされたくはなかった。そんな僕の姿を見られたくもなかった。
次回から僕は、恋人が多くの種を採取できるように協力を惜しまないようになった。その行為自体は元々嫌ではなかったってことだ。
戻ってきた彼女は笑顔だった。中でなにをしていたのかは何度聞いても教えてくれない。子供が出来たかのチェックじゃないかとの噂は広まる前に消えて行く。卵を採取しているんじゃないかとの噂は今でもたまに聞く。