3
十五の春、その通知が届く。僕達男子には朗報だ。待ちに待っているその日でもある。
女子にもその日はやって来るけれど、どう言うわけか男子ほどの騒ぎにはならない。女子は出会いが嫌いなのか? 僕には理解が出来ない感情だ。
この世界では生身の女子との接触が基本的には禁止されている。だから確認のしようがない。
いつか本物の女子に会いたいと口にしたことがある。大変な騒ぎになり、危うく処分されそうになった。
僕達男子は、十六歳の春から本格的な軍人としての毎日が始まる。その前祝いとして十五歳の誕生日に恋人を与えらる。
初めての恋人は、僕達に衝撃を与えてくれる。それを狙っての配給だ。
僕達が暮らす空間では、十五歳になると皆が一斉に恋人を手に入れる。それは生まれる前からの決まり事だけれど、特に知らせがくるわけではなく、知るのは大抵が数年程前だ。
ちなみに僕達は本当の誕生日を知らない。その年に生まれた者はみんな、その年の四月一日を共通の誕生日として与えられる。製造日という言い方をされることがあるけれど、それを聞くと寂しくなる。製造されたかどうかは別として、実際にはその日に生まれていない者の方が多い筈だ。この世界の男子は、皆が同じ誕生日ということになっている。と、少なくとも今の今までは信じていた。正確にはこの先もしばらくは信じているのだけれど。
僕は初体験をその日に済ませている。恋人は基本積極的で、僕達男子は思春期真っ只中だ。大抵がその日にことを済ませてしまう。それが狙いでもある。僕達は、ただ搾取されているだけだとはまだ気が付いていない。遅くとも数ヶ月後にはそのことに気が付くことにはなる。けれど、それがどうしたってみんなが思う。気持ちいい思いが出来ることに意味もなく喜んでいた。