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僕達は週に五度、練習場に向かう。大抵は午後には家に帰っている。長引くこともあるけれど、そんなときはお昼ご飯が提供される。大勢で食べる食事は、その内容に関わらず楽しいものだ。
午後の日程は基本はそれまで通りだったけれど、同じ建物内の軍人達と遊びに行くことも稀にはあった。遊ぶといっても決してお互いの部屋の中には入らず、建物内の廊下や階段でお喋りをしたりトレーニングをしたりするだけだ。部屋に誰かを入れてはいけないなんてルールは存在していない。後にできた恋人はみんなが自由に出入りしている。
訓練が始まってから三日も経たないうちにいきなり戦場にも連れて行かれたけれど、戦いには参加しなかった。
僕達は日々、戦いの訓練をしていただけだった。
初めて見た戦場の現実は、酷かった。敵も味方も大勢が死んでいくのを目の当たりした。これが現実の世界だと言われたけれど、僕にはピンとこなかった。ただ少し、山積みのトラックを思い出し、更に気分が沈んだのを覚えている。
戦場での戦いは、主にライフルでの撃ち合いだった。手榴弾やロケット砲も使用してはいたけれど、確実に敵を殺すには距離を詰めてズドンッ! が一番効率的らしい。
結果として肉弾戦になることも多い。戦場では短銃は使用しない。そもそもそんなものは存在していないことになっている。僕はその存在を眠りの世界で知っていた。だからきっと戦場でも使うんだと考えていた。けれどそうではないことに驚いた。短銃の方が狭い場所での扱いは容易い。
戦いの訓練は厳しい。訓練でも本気で戦わなければならない。手加減をすれば殴られて痛い思いをするだけでは済まされない。
その結果、訓練中にも多くの仲間が死んでいった。初日に広場まで先導していた彼達は、教官ではなかった。僕は勝手に指導を受けるものだと思い込んでいたけれど、気がついたときには一緒に訓練をしていた。三千人が戦場近くの訓練場に集まる。指導役の教官は五十人ほどはいたと思う。
何故だか同じ教官に教わることはなく、同じ教官の顔を別の日に見かけることもなかった。数える程度しか。