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十二歳の誕生日になると、突然部屋の玄関が開かれる。元々鍵なんて掛かってはいないけれど、その扉が開くことなんて誰も想像していない。
扉が開かれるのは、体操後の誕生祝いが終わった瞬間だった。
誕生日には決まって体操後にお祝いが待っている。それはテーブルの上に突然現れるプレゼントに手を触れることで始まる。
天井から流れている音楽がハッピーになる。そのリズムに自然と心が浮つく。
リズムに乗って聞こえてくる声が誰のものなのかは分からないけれど、僕の誕生日を真剣に祝ってくれているのは感じられる。その声が、喜びで弾んでいる。
お祝いの音楽が終わるとテーブルにはロウソクの立てられたケーキが浮かぶ。勿論火が付いている。僕は慌てずにその日を吹き消す。正直に言ってしまえば、初めてのときは驚きパニックになった。火は怖い。生まれて初めて見ても感じる恐怖。すぐさま手を伸ばした。熱いッ! そんなことさえ知らなかった。無意識に慌ててフーフーした。火はあっという間に何処かに消え飛んだ。
プレゼントの内容は毎年違う。トレーニングに使えそうな器具だったり、僕が興味を持っていた内容の本だったり、まるで使い道の分からない物だったりもする。そして必ず、洋服がセットされている。