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僕は受付で最上階まで行きたいと言った。すると、それは無理ですと言われた。左側のお姉さんがそう言ったけれど、その瞬間に右側のお姉さんが慌て出した。
いいえ、ごめんなさい! どうぞそちらでお待ち下さい。今すぐエレベーターが参ります。
僕と彼女は手を向けられた先の壁まで歩いて行った。背後では二人のお姉さんが言い合っている言葉が微かに聞こえていた。
どうしてですか? 屋上は関係者以外立ち入り禁止ですよ。そんなの分かっているわよ! それは彼の方でしょ! よく確認しなさい! 彼女の方を見れば分かるわよ! あっ・・・・ 謝りに行った方がいいでしょうか? 余計なことはしちゃダメよ! 怒ってはなそうだから、このままでいい筈よ。そうですか・・・・
彼女の耳にもそのやり取りは聞こえていた筈だけれど、彼女は無反応だった。だから僕も気にならないふりをした。まぁ、今ではその反応に理解を示しているんだけれどね。