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いざ決行の時間が近付くと流石に緊張する。彼は決して失敗をしない。一人でも完璧に近い軍人だった。アンナが横にいて失敗するはずはない。その後生き延びることも、僕は確信していた。
けれど僕は違う。いつもの戦場では完璧でも、外での経験は少ない。それに・・・・ 僕は覚悟が出来ていなかった。工場の爆発は仲間を殺すことになる。もしかしたらだけれど、自分の子供がいるかも知れない。血縁上は。
軍人生産工場は男の家からは車で三時間程の場所にあった。恋人生産工場がどこにあるのかと聞いたら、そこから車で八時間はかかると言われた。ヘリコプターでは最速で一時間だ。遠いのか近いのかの判断に迷った。
そして僕と彼女は建物内に潜入をした。
男の言う通り、僕と彼女は素通りだった。一階の表玄関には受付があった。だだっ広いエントランス。綺麗なお姉さんが二人、奥のカウンターの中に立っている。ガードマンが数人散らばっていて、僕と彼女に顔を一瞬だけ顔を向けてすぐに逸らした。