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 爆弾を仕掛ける以前は出入りがそれ程には難しくなかった。けれど、今は違う。ロボットによる自動強化が発令されている。工場を管理しているのはロボット達だ。というか、工場そのものもロボットだという。異変を察知すると自動で対策をするそうだ。爆弾の存在には気が付いていないようではある。気が付いていれば撤去される筈だ。バレない工夫は当然されてもいる。しかし、爆弾を仕掛けるために多くの一般市民が工場の周りを彷徨っていた。それは確かに異常な事態だ。ロボットが異変と感じるのも無理はない。

 その結果、外部からの出入りが人工人間にしか許可されなくなったんだよ。特別な許可は必要としないが、IDをスキャンされる。偽造は難しいんだ。そこであんたともう一人の彼が選ばれたんだよ。そしておめでとうと言われたけれど、嬉しくはなかった。

 ってことは僕達に死ねってことか?

 僕がそう言うと、当然そうなる可能性は高い、なんてことを男は平然と言う。

 けれどまぁ、二人で行けばなんとかなるんじゃないかとも言われた。あんたは優秀そうだし、向こうの彼は実際に優秀だろ? アンナもミカも実績がある。きっとなんとかするんじゃないかと期待しているよ。

 全く無責任な言葉だと思ったよ。

 ・・・・? なにか違和感がある。

 アンナは可能かも知れないけれど、私は無理よ。だって私はロボットだから。

 彼女がそう言うと、男は笑う。

 君がそう思うのは無理もない。けれどそれは間違っている。まず君はロボットなんかじゃない。そろそろ気が付いているだろ? 君がいくら認めたくはないと思っても、真実は変えられない。

 アンナでも不可能だろって僕は思った。アンナは恋人ではあるかも知れない。けれど人工人間ではないんじゃなかったか? そんな疑問は自然と口から出てしまう。

 正確にはそうだな。けれどロボットはそんなことで判断はしない。IDを読み取るだけだ。アンナのIDは恋人ように書き換えられている。だから問題はない。言っておくが、IDの書き換えはロボットにしか出来ない。とされているんだよ。まぁ、俺達も試みてはいるが、出来ていないのが実情だ。

 残念だけど、私は恋人じゃないのよね。

 そうだよな。君が恋人だったら、軍人はみんな骨抜きにされてしまう。

 あら、酷いことを言うのね。だったらジョージは骨抜きってことね。

 いいや、何度も言うけれど、世の中はイレギュラーに溢れているんだ。ミカはその最たる存在だろ?

 あっ! 突然漏れてしまった僕の驚き。当然理由はある。

 どうしてミカの名を知っているんだ? 僕は男の前でその名を発した覚えがなかった。

 俺とミカは古い知り合いなんだよ。まぁ、そうでなくてもこの街の人間はみんなミカを知っている。なんせミカは有名人だからな。

 彼女が直接教えてくれなくても、彼女の情報は溢れていた。それこそが真実を伝えていると感じた。

 けれど会話の中だけでは不十分だ。僕が今知っている彼女の真実は、その後に知ったことの方が多い。

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