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よくよく考えると恐ろしい。誰もが納得して決めたことだけれど、これって大量虐殺行為だ。しかも全員歳はもいかない子供達だ。正直今でも目覚めはよくない。悪夢を見る夜は数えきれない。僕は直接悲鳴も聞いているから尚更だ。
男には多くの仲間がいる。けれど普段は散らばって活動をしている。それは今でも変わらない。集団行動は狙われやすい。だから僕達は、離れて暮らしている。と言っても彼女は別だよ。彼女と離れたら僕は死んでしまうんだ。これは冗談なんかじゃない。
爆破計画は殆ど完璧に進められていた。後は誰かがスイッチを押すだけだった。
けれどそこからが大変だった。
誰もスイッチを押したがらないのが理由の一つではある。もう一つ重要な理由は、工場内に侵入する必要があったからだ。爆弾を仕掛けたのは工場の周りだけだ。一つの爆発が起きれば誘発するように仕掛けをしてある。外で爆発を起こしても工場は崩れるだろうけれど、全ては処理出来ない。工場内に幾つかの爆弾を仕掛ける必要があるとの計算結果が出ていた。
実の所、工場内の仕掛けは終えている。後はボタンを押すだけなのは変わらない。というかすでにボタンは押されていた。けれど、爆発は起きなかった。工場内にはスイッチの電波が届かなかった。まさかそんな対策を壁に施しているとは考えていなかったようだ。爪が甘過ぎる。
だったらもう一度誰かが忍び込めばいい。とはいっても忍び込んでボタンを押せば自分も生きては帰れない。志願する者はいなかったし、そもそも工場内に入ることが出来る人材がいなかった。
そこに現れたのが僕だ。僕と彼だよ。