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どうして世界に一つしかないのかは分かっていない。世界はそもそも一つだったからだと男は言うけれど、実際のところはまだ解明されていない。そしてどうしてこの国なのかも分かってはいない。この国のどこかに神の街があるからだ男は笑う。神の街は世界に一つしかないそうだ。
僕は思ったよ。彼女はきっと、その街の子供なんだってね。僕にとって彼女は、まさに女神なんだ。
人工人間生産工場には五歳未満の命が全て揃っている。そこには保存されている精子も卵子も含まれている。受精も工場内で行われている。
精子と卵子はその組み合わせで性別を操作することが出来る。たまにはイレギュラーも存在するけれど、見つかれば破棄するだけだ。まるで眠りの世界で見た鶏卵工場に似ているなと思った。
つまりはこういうことだ。工場を破壊すれば今後六年間は軍人が生産出来ないってことだ。恋人の存在も消すのが望ましい。恋人がいれば子供を作ることは可能だから。
ということに男は決めたそうだ。世界をひっかり返すための最初の手段が人工人間生産工場の爆破だった。