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ロボットのために作られた治療薬は、人間にも効果がある。けれどその逆はないようだ。臓器移植に関しても、ロボット用は人間にも使用出来る。けれど人間用をロボットに取り付けると壊れてしまう。その理由が今は分かっていない。人間とロボットの混血が生まれないのがその証明にはなっている。
男は言う。今ではもう、正確に人間とロボットを分けることは不可能だと。だから俺は、ロボットを恨んでいるわけではない。
男の言う革命は、それ程の効果があるのかどうかは不安だった。それをもし、世界中で同時に行えば効果はあるだろうけれど、この国の、しかもたった一つの地域を潰したところでたかだか知れている。
それでもやる価値はある。俺達がまず、行動で示せばいい。同様の不満は世界中で膨れ上がっているんだからな。後は針で突つけばいいだけだ。
男の話を聞いていた彼女が疑問を口にする。それは直接的には関係がない疑問ではあるけれど、僕もずっと不思議に感じていた。
そんな大事な話をどうして私達に話すの?
男は口をあんぐりと息を止めた。数秒の間を開けて、そのまま笑い出す。
どうしてだって? この街には俺達に会いに来たんだろ? だったら同志じゃないか! 違うのか?
当たり前のことを聞くなよ的に男はそう言った。僕も彼女のそれ以上は聞く気にならない。確かに僕と彼女は、革命を望んでやって来ていたから。
ジジジッ・・・・
妙な音が聞こえて来た。聞き覚えはあるけれど、なんだか籠って聞こえる。