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革命は起きる。それは絶対だ。今の世界は狂っている。それも絶対だ。けれど、先頭に立つ人間がいない。だから彼が動くことにした。
この世界を支配している存在は、事実上いないという。ロボットの支配は、とうの昔から機械化されている。そもそもロボット自体が元は機械なんだけれどねと、男だけが高笑いをする。
この世界がおかしくなったのはもう百年も前のことだという。そのきっかけを作ったのが、今では一般市民の街で暮らす人間達だった。
ロボットを生み出し、全てを任せようとしたんだ。
けれどいつしか、立場が弱点した。ロボットにも心は芽生える。それは人間にとっての誤算だった。言っておくけれど、心と知能とは別物だ。人工知能は、人工精神とは呼べない。心は作ることが出来ない。芽生えるものなんだ。ときには心のない人間が生まれてしまう。それと同じで、ときには心にあるロボットが生まれるそうだ。そして広がった。
ロボットは馬鹿ではない。自分達が自由に暮らすために人間を利用する。価値のある人間だけを選び、この街を作ったんだ。残念だけれど、俺達はロボットが考えた通りに生きているだけだ。お陰で自由は増えたけれど、お金も増えたけれど、なんだか心は冷えている。