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屋根裏部屋へ行くのがとても楽しい様子の彼女は、やっぱり可愛いと思う。僕は決めた。彼女が楽しいと感じるのなら、僕も一緒に楽しもう。
さぁ着いたよと、男にも彼女の楽しさが写っているようだ。
その部屋もまた、普通だった。眠りの世界で見る映画の中の屋根裏部屋そのものだった。
ふと僕はおかしな空想をしてしまう。僕はずっと、眠りの世界もこの世界もどちらも現実なんじゃないかと考えていた。二つの身体を僕の意識だけが行ったり来たりをしている。まるで別空間の世界をだ。どっちの世界の僕も、意識なんてなくても生きていける。時空が同じかどうかは別にして、この意識の時間経過だけは同期している。どちらかが夢だなんて考えを持ったことは一度もなかった。
けれど・・・・ そうじゃないかも知れないんだ。根拠は薄いけれど、そう考えるとしっくりする。
この世界が夢なんだ。眠りの世界の中の僕が見ている夢の世界。僕はここでは眠りを思い出して比べるけれど、眠りの世界でこの世界を思い出したことは一度もない。
まぁ、全ては空想だ。確かめる術は、今のところ皆無だ。
屋根裏部屋での会話は楽しかった。男が意識をしてそうしていたわけではない。彼女の存在に委ねた結果だ。