第10話 さらば、涙のゴッデムッ!
グラサンをつけたマッチョな男が、リングにと上がる。
そして、観客たちに向かって手を振る。
「ゴッデムッ!!」
「「「ゴッデムッ!!」」」
男の低い叫びに呼応するように、観客たちも声を上げる!
「ゴッデムッ!!」
「「「ゴッデムッ!!」」」
ツバが飛び、熱狂的なファンはその場で失神する!
「皆も知っての通り、俺は武神ゴッデム! 創生神ニューワルトの双子の妹の隣に住んでいたババアの知り合いの家電屋の息子だ!」
お決まりのジョークに、観客はドッと笑う。
「最近疲れ気味でねー。なにやってもかったるくてかったるくてー」
そのネガティブ発言に、観客からわずかにブーイングが漏れ出す。
それをゴッデムはチチチと舌打ちで黙らせる。
「人生には息抜きが必要だ! そう俺は判断した! ゴッデム!」
「「「ゴッデムッ!!」」」
「…神ゆえに〜?」
「「「ゴッデムッ!!」」」
「あ、あの意味が…」
「意味? 意味なんて考えて転生なんてできんだろう?」
「そ、そんな…まるで意味が…」
「ゴッデム! 神ゆえにゴッデム!!」
ゴッデムは良い子が真似をしてはいけない両手中指を立てる!
「俺を! 俺を見続けろ! ゴッデム!!」
「「「ゴッデムッ!!」」」
「い、いや、本当に意味が…」
「今日からはマッスル体操をこれから毎日行う! 神故に! マッスル故に! ゴッデム!!」
ゴッデムは牛の首根っこを捕まえてひねる。神だからできる最高のポテンシャルの一撃だ。
「俺は誰だ!?」
「「「ゴッデムッ!!」」」
「世界最強は!?」
「「「ゴッデムッ!!」」」
「皆に愛されているのは!?」
「「「ゴッデムッ!!」」」
「感謝! ここにいる皆に感謝!!」
「「「ゴッデムッ!!」」」
落涙するゴッデム。彼はいま幸せの絶頂にあった。帰れるところがある…こんな喜ばしいことはない。
「ありがとうありがとうありがとう!!!」
「「「ゴッデムッ!!」」」
彼らの感謝の雄叫びは永遠とも思われるほどに世界に木霊したのであった。
木霊でしょうか?
いいえ、ゴッデムです──




